下町の零細企業が、財閥系巨大企業に立ち向かう。そんなストーリーの『下町ロケット』が、多くのサラリーマンから共感を得ている。が、航空産業界に目を転じると、小説で“敵役”と思しき三菱重工はおろか、子会社の三菱航空機も下町の工場に過ぎないというのだ。
〈伝説の戦闘機・零戦を開発した三菱が航空市場に新規参入〉
ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ、新華社通信など世界中のメディアは11月11日、国産初のジェット旅客機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)のデビューを大々的に報じた。名古屋空港での初飛行に立ち会った、全国紙の経済部記者も感慨深げだ。
ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ、新華社通信など世界中のメディアは11月11日、国産初のジェット旅客機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)のデビューを大々的に報じた。名古屋空港での初飛行に立ち会った、全国紙の経済部記者も感慨深げだ。
「42年前、国産プロペラ旅客機YS―11が生産中止になって以降、日本企業は部品提供の“下請け” に甘んじていました。今回は初めて機体本体を製造して、組み立てまで行った。つまり、零細部品メーカーが旅客ジェット機を飛ばしたようなものなのです」
目下、世界の大型ジェット旅客機市場を二分するのは米国のボーイングと、欧州のエアバス。一方、MRJは定員100人以下の小型機だ。航空ジャーナリストがこう指摘する。
「カナダのボンバルディアや、中国の中国商用飛機も中小型機を製造していますが、最大のライバルはブラジルのエンブラエル。世界20カ国以上の航空会社を顧客に抱え、日本でもJALグループや総合商社『鈴与』の関連会杜『フジドリームエアラインズ』が同社のジェット機を購入しています」
両者の性能に大きな差はない。カタログ価格でMRJが1機約47億円なのに対して、開発中のエンブラエルの同種機はそれより若干割高だというが、
「エンブラエルは、1969年設立の老舗なので、抜群の信用力がある。一方のMRJは、まだまだ無名の存在ですから……」(同)
53年ぶりに大空を飛んだ国産機。製造目標1000機を達成できるか。
零戦は欧米に遅れた日本の航空技術が生み出した極めて偏った戦闘機だった。出力の小さいエンジンで速く、遠くまで飛び、また機敏な機動性を確保するために機体を徹底的に削った。そのために防弾装備も装備せず、機体の強度が低く、高Gに耐えられず、戦争後半には第一線機としての地位を確保できなくなってしまった。英国のスピットファイアやドイツのメッサーシュミットBf 109が高性能エンジンに換装して最後まで第一線機として高性能を保ったのとは対照的でその零戦を最後まで主力戦闘機として使用しなければならなかったところに日本の遅れた航空技術の悲劇があった。その零戦を作った三菱重工が世に問うMRJだが、今回は技術的には全く問題はないだろう。問題は、旅客機製造メーカーとしての三菱重工の知名度と飛行機を使用するエアラインに対する信頼度だろう。アフターケアについてはボーイングの支援を受け、また、商社やトヨタもついている。今後、大きな問題を生じずに型式証明が取れればMRJはエンブラエルと対等に渡り合えるだろう。
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