習近平国家主席率いる中国が猛反発している。米海軍のイージス駆逐艦ラッセンが27日、中国が「領海」と主張する南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島での監視・哨戒活動を開始したのだ。中国共産党の重要会議である第18期中央委員会第5回総会(5中総会)が26日、北京で始まったという絶妙のタイミング。オバマ米大統領の狙いとは何か。
「『航行の自由』の名目で、他国の主権と安全を侵害することに断固反対する」「(人工島の建設は)今後も続けていく」
中国外務省の華春瑩副報道局長は、このようなコメントを発表した。大国のメンツを潰された怒りがにじむが、オバマ氏がゴーサインを出した時期も衝撃だったようだ。
航空自衛隊南西航空混成団司令を務めた佐藤守・元空将(軍事評論家)は「私は『オバマ氏は5中総会を避けるのではないか』と思っていた。この時期に作戦行動に着手した意味は大きい。オバマ氏は本気で中国国内を混乱させ、習体制を揺さぶる気だ」といい、続けた。
「米軍は今春には、艦艇派遣の行動計画を完成させていた。オバマ氏は9月の米中首脳会談を受けて、最終決断したようだ。『これ以上、国際法を無視し続ける中国を放置すれば、世界中で米国や米軍に対する信頼が失墜する。中東はさらに混乱する』と腹をくくったのだろう。まずはイージス駆逐艦で様子を見て、空母ロナルド・レーガンなどを派遣するのは次の段階だ」
習氏は首脳会談で、オバマ氏がサイバー攻撃の中止を求めたことに対し、「中国も被害者だ」とシラを切り、南シナ海での暴挙にも「昔から中国の領土だ」と開き直った。これにオバマ氏は激怒して、「フリーダム・オブ・ナビゲーション(航行の自由)作戦」を決断したようだ。
今回の米軍艦艇の進入に、中国はどう対応するのか。佐藤氏は続けた。
「最初は漁船などで取り囲み、その後、中国軍艦艇を衝突させることもあるだろう。米軍艦艇を追い出さなければ、習氏の権威は失墜する。習体制が持たなくなる。冷戦時代も、米国とソ連の艦艇は何度も小競り合いをしてきた。ただ、反汚職運動で習政権に締め上げられてきた人民解放軍が指示に従うのか。過剰な暴発をしないか。今後、中国の政治体制や軍部の動きが注目される」
とどのつまりは力がなければ平和も秩序も維持することは出来ない。有史以来、それが人間のやってきたことで世の中は変わっても人間の本性は何も変わってはいない。織田信長も「天下布武」を唱えて力による秩序の維持を目指した。「平和、平和、戦争放棄」などといくら口先で唱えようが、そんなものは何もならない。日本の呆けたメディアが取り上げて騒ぐくらいだろう。米国がいくら軍艦を人工島の12海里内に派遣しても中国は意地でも人口島の建設を続けるだろう。そうしなければ政権が持たない。しかし、中国が領海と主張する海域を米艦船が航行し続ければやはり習政権は持たないだろう。米中双方ともに武力衝突は避けたいところだろう。特に勝てる見込みのない中国は絶対に武力衝突だけは避けないと政権にとってはとんでもないことになる。しかし、人民解放軍の統制がどの程度まで及ぶのか、それも不明だ。一触即発の不安定な状況は当分続くだろう。これを笑って見ているのはどこの国だろうか。
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