朝鮮半島有事に想定される韓国在留邦人の保護・退避を目的とする自衛隊の韓国派遣にからみ、黄教安(ファン・ギョアン)首相が口にした「受け入れ論」が、韓国では“物議をかもす発言”として反発を受けている。邦人保護の観点から、日本人の救出の手段として、自衛隊の輸送機や艦船の派遣は重要な選択肢の一つだ。しかし、人道的措置であれ、自衛隊への拒否感が根強い韓国では、それさえ認めようとしない風潮にある。

 
「自国民保護のための自衛隊派遣の要請がある場合、日本と協議し、必要性が認められれば、(自衛隊の韓国への)入国を受け入れる」

 
韓国国会で14日、野党議員からの質問に答えた黄首相の発言は、野党や一部与党だけでなく、その日のうちに韓国メディアから猛反発を受けた。「一斉攻撃」と言ってもいいほどだった。日本の安保関連法が成立し、「自衛隊の活動範囲の拡大が論議を呼ぶ中で、外交的センスに欠ける発言」(韓国メディア)との批判さえあった。

 
黄氏の答弁は、野党議員の「挑発」や「引っかけ」に乗せられたきらいもある。ただ、黄氏は自衛隊の入国について「基本的には認められないが、状況を考慮し韓国が同意すれば可能」とも述べており、韓国国内の“自衛隊アレルギー世論”にも配慮している。

 
翌15日の記者会見で韓国国防省報道官は、黄氏発言を補足するかたちで、「朝鮮半島の安全保障や韓国の国益に影響を及ぼす日本の軍事活動は、韓国の要請や同意なしには容認できない」と説明。韓国メディアを納得させた。

 
自衛隊が韓国の領土に入る必要性が万一生じた場合、日本としては当然、韓国政府にその旨を連絡し、要請もすることだろう。「問題視」された黄氏の発言は、日本から見れば当たり前の発言だ。しかし、人道主義の観点からと言っても、韓国世論(メディア)にとっては自衛隊の自国での活動は絶対に許せないことらしい。

 
韓国国内には現在約3万7000人の日本人が居住している。平穏(?)な日常の一方で、韓国在留邦人の近くには、核やミサイルをちらつかせる北朝鮮の脅威が現実として存在する。

 
黄首相の発言が“袋だたき”に遭っていたころ、ソウル駐在の日本人記者仲間らの間で、「朝鮮半島有事の際の身の処し方」が話題となった。

 
有事に公共交通だけでも、どれだけ機能するか全く予測はつかない。仮に米軍が邦人の退避に協力し、米艦船を出してくれたとしても、そこまでたどり着くには韓国政府の協力は欠かせない。そもそも、米軍が救出対象とするであろう同盟国の韓国在住外国人は、日本人だけではない。

 
軍事的な突発と自然災害という別次元の問題ではあるが、日本人は東日本大震災や阪神淡路大震災をはじめとした災害を直接、間接的に経験している。公共交通機関の停止やマヒがどんなに大変なものか理解している人は多いはずだ。

 
20日には中谷元防衛相が訪韓し、韓国の韓民求(ハン・ミング)国防相と会談した。韓国国防省報道官は事前に、会談で「当然、韓国の立場と原則を日本側に伝える」と語っていた。会談ではそこまで突っ込んだ議論はなかったようだ。

 
中谷防衛相は安保法制にからみ「他国の領域で自衛隊が活動する場合には、国際法に基づき当該国家の同意を得るということが日本の方針だという立場を再度確認した」という。

 
日本側としては“人類普遍の人道主義”の立場から、韓国政府に対し、今後、邦人の救出・保護への思いを粘り強く伝えていくしかない。

 
ただ、朝鮮半島有事が、いつ起こるかは全く予測できない。


わが自衛隊は命令が下り、可能であればどこへでも邦人救出に赴くだろう。しかし、受入国の半島君が強固に受け入れを拒否するならば打つ手はない。大体、半島君は現在も戦闘継続中の交戦国なのだからそういう国へ行くにはそれなりの覚悟をしていくべきだろう。世界中、日本と同じではないことを承知しておくべきだ。


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