「食欲の秋」だが、多くの現代人にとって頭の片隅に浮かぶのはダイエットのこと。「これでまた太るんじゃないか……」という迷いで、せっかくの料理も味わえない人もいるかも。公衆衛生の面でも「肥満対策」は世界的に大きな問題になっている。そんな中、肥満に関する興味深い論文が国内外で発表された。驚きのデータを含むその内容を大阪樟蔭女子大学の石蔵文信教授に解説してもらった。

 ◇さまざまな病気に関わる肥満
肥満とは脂肪組織が過剰に蓄積した状態で、身長と体重から計算できる体格指数(BMI)で判定する。BMIは体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割って求めることができる。健康診断で目にすることのある値だ。

 
BMIが18.5未満は低体重、18.5以上25未満が普通体重、25以上30未満が肥満1度、30以上35未満が肥満2度。まあ、ここまではまだ許せる範囲であろう。35以上40未満が肥満3度、40以上が肥満4度となり、2011年に11年ぶりに改訂された日本肥満学会の新しい肥満症の診断基準では、BMI35以上は「高度肥満」と定義されて診断や治療の対象と位置づけられた。

 
最近、福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センターの永井雅人氏らが、四つの全国調査を用いて過体重(BMIが25以上30未満)および肥満(同30以上)の高血圧症への影響を研究し、日本高血圧学会の学会誌「ハイパーテンション・リサーチオンライン版7月16日号に発表した。対象の調査は1980年から2010年に行われたもので、総参加者は2万5000人以上だった。その結果、調査の時期が最近になるにつれ、過体重および肥満の高血圧に対する影響が増加していた。高血圧になりやすさは、正常体重者に比べると男性では80年に1.94だったのが10年には2.82へ、女性では同じ期間に2.37から3.48へと増加した。もっとも日本人の肥満者は3%と少なく、多くは過体重者だったという。社会のストレスが年々増え、太った人はより高血圧になりやすくなったのかもしれない。

◇成功率は超低レベル~「肥満追放」は無駄な事業?
さて、「体重を減らせ!」というのは国家的な関心事だ。あまりのキャンペーンのすごさに、「肥満」や「メタボ」という言葉は、当事者を蔑視するようなハラスメントになりかねないと心配する。本人も「体重を減らさなくてはならないと思っているが、なかなか実行できない」というのが本音だろう。

 
その本音を研究でズバッと証明した英ロンドン大学のアリソン・フィルデス氏らの論文が、「アメリカン・ジャーナル・オブ・パブリックヘルス」オンライン版に7月16日、掲載された。途中で減量手術を受けた人を除いて、肥満成人17万6000人以上の体重を04年から14年まで追跡調査したところ、ある1年間で肥満男性が正常体重まで減量できる可能性は210分の1、女性は124分の1だった。さらに、高度肥満の男性では1290人に1人という絶望的な数字であった。ただ、健康にいい影響が出るのに十分と思われる「体重を5%減らす」ことができた人は男性が12人に1人、女性は10人に1人とやや増えている。

 
しかし、この効果も長続きせずに、78%が5年以内に元の体重に戻ったというから、やはり絶望的である。著者らは「減量も大切だが、今以上体重を増やさないことが大切である」と半分さじを投げている。日本の厚生労働省はかなりのお金をかけて、この奇跡のような「肥満追放」の難事業を推進しているが、無駄なお金を使っているように思われてならない。

◇肥満は心にも悪影響
肥満と糖尿病や心臓病の関係は明らかではあるが、日本人なら痩せすぎよりも小太り(BMIが26くらい)が長生きだとも報告されている。米国でも、若者の超肥満者の寿命はかなり短くなるが、それ以外は少し短いくらいの違いしかない。

 
懸念されるのは、寿命そのものよりも「健康寿命」の短縮である。私が肥満の患者さんのつらさをもっとも感じるのは、ひざや腰の痛みである。それによって行動範囲が狭くなり、つえや車いすが必要となることも多くなる。外出もおっくうになり、うつ状態になりやすいだろう。いろいろなところに自由に出かけることができる楽しみが奪われるのが、肥満の一番の問題かもしれない。


世間にはこれはいけそうだというものからこんなことして本当に効果があるのかというものまで、様々なダイエット方法が満ち溢れているが、体重を減らすのは極めて単純で、摂取するエネルギー量を減らして消費するエネルギー量を増やせばいい。食いたければそれ以上に身体を動かす、それがいやなら食わない、ただ、それだけだ。


一時期、ビリーズブートキャンプが大流行した時にあれをやって6キロほど体重を減らしたことがあった。それにはまってその後6、7年続けていたが、体の柔軟性も確保できるし、あれはなかなかいい。でも続けていると体が自然に手を抜くのを覚えて、また筋肉がつくので体脂肪率は下がるが、体重は減少しなくなる。


最近、仕事を変わった時に1ヶ月ほど暇していて体重が4キロほど増えてしまった。今回は食事量を減らして減量して、3キロほど体重が減ったが、あと2キロほど減らしたいのでまた身体を動かさないといけない。減量はおのれとの戦いでこれに勝てれば成功するが、世の中には誘惑も多いからねえ。しかし、日本の標準体重はあまりにも低すぎるように思う。


要するに自分が動き易い体重で良いのではないか。でも減量よりももっと難しいことがある。それは減らした体重レベルを維持することでこれは半端なことじゃない。減量は一定期間気力で頑張れば何とかなるが、それを維持すると言うのは要するに食うなということなので人生が味気なくなってくる。まあ程々がいいのだろう。


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