■インフラ輸出戦略に影響も
インドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画をめぐる日本と中国の受注合戦は、財政負担や債務保証を伴わない事業実施を求めたインドネシア政府に迎合した中国がその権利をもぎ取った。計画の実現性を追求する日本に対し、資金力を頼りになりふり構わぬ攻勢で売り込みをかけた中国。今回の教訓を踏まえ、中国に対抗しうるインフラ輸出戦略を打ち出せなければ、経済再生を目指す安倍晋三政権に打撃となりかねない。
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「政府と民間の動きがバラバラだった。きちんと情報収集していれば中国が無謀な計画を出してくることは予想できた」
インドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画をめぐる日本と中国の受注合戦は、財政負担や債務保証を伴わない事業実施を求めたインドネシア政府に迎合した中国がその権利をもぎ取った。計画の実現性を追求する日本に対し、資金力を頼りになりふり構わぬ攻勢で売り込みをかけた中国。今回の教訓を踏まえ、中国に対抗しうるインフラ輸出戦略を打ち出せなければ、経済再生を目指す安倍晋三政権に打撃となりかねない。
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「政府と民間の動きがバラバラだった。きちんと情報収集していれば中国が無謀な計画を出してくることは予想できた」
大手企業幹部は日本側の敗因を「油断」と指摘する。中国が高速鉄道事業に参入し始めたのはこの2、3年だ。だが、すでに世界の高速鉄道の運行距離約2万キロメートルの半分を自国の高速鉄道が占める。
今後もアジアインフラ投資銀行(AIIB)の資金力を武器に、世界各国の高速鉄道事業で売り込みをかける構えだ。
日中は、米カリフォルニア州とマレーシア-シンガポール間の高速鉄道計画でも受注合戦を繰り広げる。
日本政府は品質の高さを売りに「保守点検や運行システムなどサービス面の優位性などをアピールする」(国土交通省)と強調するが、中国の攻勢を巻き返す材料になるかは見通せないのが現状だ。
首相周辺は「インドネシアの案件はレアケースだ」と分析するが、戦略再構築は避けられそうにない。
インドネシアの高速鉄道計画をめぐっては、日本が受注を前提に地質調査などを進めてきたが、今年3月に中国が参入を発表。日中の“板挟み”になったインドネシアは9月3日、費用が安い「中速度」の鉄道にプランを変更し、日中両案を不採用とした。ところが、29日になって数千億円の事業費の大半を丸抱えする中国の新たな提案を採用すると日本に通知。菅義偉(すがよしひで)官房長官は「中国案決定の経緯は理解しがたく、常識では考えられない」と批判を強めた。
日本は中国案の不透明さも指摘してきた。財政負担なしで建設できるとされるが、資金繰りが悪化すれば工事中断のリスクが高まる。
工事終了時期も2018年に設定しているが、専門家は「不可能」と断定する。
実現性を度外視してまでも受注にこぎ着けようとする、あこぎな中国ビジネスの実態をのぞかせた。
中国は利益ではなくインドネシアにおける権益の獲得を狙っているのかもしれない。インドネシアも技術ではなく金だと言っている。あこぎなやり方かもしれないが、それが中国のやり方でそういう商売をしている国があるということを日本もよく認識して今後の受注戦略を練るべきだろう。でも、金目とは言ってもインドネシアも先々痛い目を見るかもしれないが、世界の高速鉄道総延長の半分を中国が握っていると言うことも無視できない事実だろう。
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