中国で外国人がスパイ容疑で拘束されることは、以前からよくあったが、海外報道で明らかになっても、肯定も否定もしない態度を取るのが、中国政府の長年のやり方だった。だが、近年は外国人の“スパイ事件”を開示することが増えている。

 

中国当局は従来、狙われた機密情報の内容や捜査手法を隠し、また「公開すると相手国のメンツがつぶされ、その国で活動する中国人スパイが逮捕されて報復もされるリスクが高くなる」(中国政府関係者)ことを理由に“スパイ事件”の公表は極力控えてきた。

 

しかし、中国政府は昨年夏ごろから、外国人によるとする“スパイ事件”を隠さなくなった。昨年夏の遼寧省でカナダ人夫婦、今年3月に広東省で米国人女性、さらに今回の日本人の逮捕については、海外メディアが報じると、中国外務省がすぐにこれを認め、官製メディアも大きく報じた。大きな変化といえる。

 

共産党関係者は「中国が情報公開に向けて一歩前進したのではない。むしろ逆で、習近平政権が国民に対し『外国人は怖い』というイメージを植え付けようとしている」と分析した。

 

逮捕された日本人2人は経歴からして中国の国家機密に接近できる立場ではない。欧米の法律なら“スパイ”に認定する証拠もないだろう。関係者によると、神奈川県の男性は、中国当局の聴取に「日本政府からの依頼」を示唆しているとされ、その点を追及材料とみなした可能性がある。

 

事件後、中国のインターネットには「日本批判」の書き込みが殺到した。ある軍事評論家がラジオ番組で「遼寧省は旧満州に含まれ、浙江省は日本が植民地支配した台湾から近い。スパイを送り込んだ場所から、日本は中国への領土の野心があることがうかがえる」と解説している。

 

習政権は、民族主義をあおり、日本をたたくことで求心力を維持してきた経緯がある。当初は尖閣問題、次は靖国参拝と反日カードを続々切り出してきた。抗日戦勝70年行事が終了し、中国当局は“スパイ事件”を新たな反日の材料にしようとした可能性もある。

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■公安庁はスパイ否定

中国で日本人が拘束されていることについて、日本政府は冷静に対応しながら、今後の中国国内での手続きを注視している。

 

日本政府高官によると、拘束されている日本人には日本の領事が接触し、差し入れなども行っている。現段階で中国当局による扱いは問題ないとして、「中国は法律に基づいて対応している」との認識を示している。日中関係筋によれば、外務省は日本人に中国人の弁護士を手配し、接見させている。ただ、日本政府は中国側に不当な対応が確認されればただちに改善を申し入れる方針だ。

 

一方、拘束された日本人に情報提供を依頼していたとされる公安調査庁は、「事柄の性質上、答えは差し控える。いずれにしても公安調査庁において民間人を外国に送り込んで、いわゆるスパイ活動を行わせるようなことはしていない」とコメントした。


中国は日本が集団的自衛権の行使について一部容認して関係法令を成立させ、米国との同盟関係を強化したことに対し、これを中国に対する敵対行為として喧伝し、日米を非難するために日本人、あるいは米国人をスパイ容疑で拘束した可能性がある。


スパイなどと言うのはお互い様で中国やロシアなどは外交特権共有者としてスパイを送り込んできてやばくなると外交特権を楯にさっさと国外へ退去するなど結構あくどいことをしているが、米国なども同様だろうし、程度の差こそあれ、日本も似たようなことはしているのだろう。


ただ、日本の場合、お上が主体的に民間人を情報収集のために他国に送り込むと言うのはちょっと考え難い。帰国した際に一般情報として話を聴くことはあり得るだろうが、・・・。


いずれにしても日本は世界の常識から見れば秘密に関する規制が異常に緩い。その感覚で外国に行って軍事施設やその周辺、あるいは政府の施設などにカメラを向けたり周辺をうろつくのは絶対に控えるべきだろう。現地に着いたらその辺はツアコンなどにしっかり確認しておくのが良いだろう。何たって危ないからなあ、政治の駆け引きに利用されたりしたらたまらないからねえ。


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