物資補給機「こうのとり」5号機が19日夜、打ち上げに成功したことで、国際宇宙ステーション(ISS)は生命線ともいえる物資の安定的な輸送手段を確保した。米露の補給機の失敗が相次ぐ中で日本は高い技術力を世界に示し、大きな役割と責任を果たした。
ISSへの物資輸送では日米露の計4機種の補給機が運用されている。民間に委ねる米国は昨年10月にシグナス、今年6月にドラゴンが打ち上げに失敗。ロシアのプログレスも4月に失敗しており、無傷なのはこうのとりだけだ。
こうのとりは複数の大型装置を運べる唯一の手段で、輸送能力は約6トンと世界最大。今回は米航空宇宙局(NASA)の要請を受け、ドラゴンで運ぶ予定だった計210キロの物資を初めて緊急搭載した。ISSの米国棟で使う飲料水の再生装置に必要なポンプなどの交換品や食料などで、いずれも備蓄はあるが、飛行士の滞在に欠かせない物資だ。
NASAでISS計画を担当するシュミミ局次長は産経新聞の取材に「こうのとりは他の補給機にない重要な輸送能力を備えており、ISSにとって不可欠だ。特に昨年以降、他の補給機が失われており、運用が成功するよう期待している」とコメントした。
こうのとりは今後も年1回程度の頻度で打ち上げ、10号機以降は改良してコストを削減する見込みだ。ただISSは費用対効果が見えにくいとの批判も根強く、平成33年以降の延長計画に日本が参加するかは決まっていない。日本は世界に対し、明確な展望を早期に示す必要がある。
■物資補給機「こうのとり」 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した国際宇宙ステーション(ISS)への無人物資輸送船。全長約10メートル、直径約4・4メートルの円筒形。輸送能力は約6トン、打ち上げ時の最大重量は約16・5トン。H2Bロケットで打ち上げる。荷物室の一部は気圧と気温が保たれ、飛行士が普段着で入れる。水や食料、実験装置などを輸送後、不用品を積んでISSから切り離し、大気圏に再突入させて廃棄する。平成21年に初打ち上げ。開発費は約680億円。
日本の衛星打ち上げ技術もずい分と進歩したもので過去にL4Sで衛星を打ち上げようとして失敗を繰り返していたころとはまさに隔世の感がある。これも打ち上げに失敗するたびに、「○○億円が宇宙のゴミ」などと低レベルに揶揄するマスコミの批判に耐えて地道に研究開発を続けてきた結果だろう。欠点はコストが高いと言うことらしいが、コストダウンを進める米国などが打ち上げに失敗しているのを見ると難しいものがある。しかし、衛星打ち上げビジネスとなるとコストは重要な要素になるので今後はコストと信頼性をどうバランスさせていくかが課題だろう。お隣は既存の技術で有人衛星を打ち上げて大騒ぎをしているが、既存の技術ではなく常に新しい技術に挑戦する姿勢を持ち続けて欲しいものだ。
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