今、お盆休みである。国会も、共産党が防衛省の内部資料を暴露したことを契機として、お盆休みに入り、審議再開は8月17日(2015年)以降となる。
8月11日までは、参院での安保特別審議があり、法案成立を前提にしたような内部文書であったため、野党は国会軽視も甚だしいと反発して、流会となったと報道されているが、まあ実態は国会議員のお盆休みであろう。というのは、法案成立を前提としているという内部文書というが、法案が提出されていれば、関係部局の関係者なら、研究するのは当たり前だろう。何しろ、国会議員はお盆休みは帰省する有権者への挨拶で忙しい。
■集団的自衛権は同盟の基本
この時期、記事が夏枯れするのだが、このタイミングで、穴埋め記事としては格好なものがでた。「安保法案 元首相5人が反対の立場で提言」という報道だ。
この時期、記事が夏枯れするのだが、このタイミングで、穴埋め記事としては格好なものがでた。「安保法案 元首相5人が反対の立場で提言」という報道だ。
報道によれば、歴代の総理大臣のうち細川、羽田、村山、鳩山、菅各氏が安保関連法案に反対する提言をまとめた。それも、安保関連法案に反対の立場を取る元記者らのグループの求めに応じて出されたものという。さすがに、マスコミ事情が分かっているものだ。
こうしたお膳立てなので、元記者グループは左派グループであろうし、こうした行動に、日本の左派の典型例が表れている。
左派の「戦争にならないように」というところは、左右に関わらず正しいので、もちろん賛成だ。しかし、その達成方法になると、思いこみが激しく論理が滅茶苦茶になる。
前回(7月23日)の本コラムで、過去の戦争データを分析すると、きちんとした同盟関係を持つことは戦争リスクを40%減少させることを指摘した。集団的自衛権は同盟の基本なので、今の安保関連法案は戦争リスクを減少させる。だからこそ、中国と韓国を除く、世界の国から賛同の支持を得ているのだ。
歴代5首相の意見は、中国と韓国の意見通りにし、その他の世界の国には反して安全保障を考えるので、そのほうが戦争リスクを増すことは明かではないか。
「カントの三角形」の観点から考える
しかも、この戦争データの分析では、哲学者カントにちなんだ「カントの三角形」も定量的に実証されている。カントは、(1)民主化、(2)経済依存度、(3)国際機関加入を推し進めれば、平和になると論じたので、今では、この3点を「カントの三角形」と呼んでいる。
この観点から、(1)民主化について、日本のアジアの中でも位置づけをみると、日本は戦後一貫して、アジアで唯一のfull democracy であり、一番平和国家だ。この点、中国は今でも、民主的でない独裁国家であり、韓国でも独裁国家であったときもあった。
今回、歴代5首相は、安保関連法案を立憲主義に反しているといい、全く立憲主義とはほど遠い中国らと同調するのは滑稽である。そもそも中国では共産党が指導する国で立憲主義とは正反対である。平和憲法を守れといいながら、中国には平和憲法もなく、軍隊も法のコントロールではなく、共産党の軍隊にすぎないことをご存じないのか。
国際政治のリアリズムからいえば、カントの三角形のように、日本が平和憲法を主張するよりも、中国を民主化し、平和憲法を導入させるほうが、はるかに日本は安全になる。
歴代5首相の今回の提言は、官邸に届けられるようであるが、いうべき相手はむしろ中国と韓国であり、いうべきことは民主化である。歴代5首相の提言は、あまりに世界の常識からかけ離れていて、かえって逆効果になっただろう。
この5人の元首相は、非自民系政権の首班として脚光を浴びたが、何らなすところなく、あるいは日本に害を与えながら消えて行った人たちである。要するに反対政党から脱却できず政権運営の能力を欠いた人たちである。日本の政治の最大の欠陥は自民党以外に政権を担当できる政党が育たないことで堅実な政権運営が出来る勢力が出来れば日本の政治は劇的に変わるだろう。
どうしてそうした政治勢力が育たないかと言えば今の民主党を見れば分かる。政権の座から滑り降りるとただの反対政党に成り下がって与党の政策に対し、切磋琢磨して対案を出そうとせずに感情論だけで与党に反対を唱えるだけの政治集団に成り下がってしまうからだ。現職で補佐が山ほどいた当時でもろくなことが出来なかったこれらの御仁が隠居してまともなことが出来るわけもなく今回のような国際常識から外れたとんでもない亡国提言になった。
この論説のとおり、今、中韓と手を組んでも日本に利益は何もない。中国の覇権主義と独裁は国際社会に広く認知され、非難の的となっている。韓国の因縁のような日本批判も米国始め各国はうんざり気味で、「勝手にやってくれ」程度で誰も関心は持っていない。80年前であれば当時の中華民国と手を組んで中国の共産化を防止するという選択肢もあっただろうが、覇権主義の独裁国家と手を組んで良いことなど何もない。この御仁たち、自分を認めなかった日本に仕返しでもしたいのか、とんでもないことばかりやっているが、もう大人しく老後を過ごしてもらいたい。
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