◆純国産の戦闘機は戦後初!
 
とかく防衛といえば、世間の関心は「集団的自衛権の行使容認」というテーマに向けられがち。だが、実はその陰で、巨額のマネーが動くビッグプロジェクトが密かに進行中だ。カブドットコム証券チーフストラテジストの河合達憲氏は次のように指摘する。

「政府は国産ステルス戦闘機・F3の開発に乗り出す方針です。純国産は戦後初で、防衛省はそのための予算として5000億~8000億円を見込んでいます。しかし、それはあくまで当初に投じるお金で、かなりのレバレッジ(テコの力)が効いた経済効果が期待されているのです」

最先端技術を結集した次世代戦闘機であるだけに、開発・製造にも相応の資金を要するが、さらにそれから先にもコストがかさむものだ。メンテナンスや改良、そして耐用年数に達した後の廃棄まで踏まえると、膨大な予算が求められることになる。現在の主力戦闘機・F2のケースで試算すると、こうした総費用は100機当たり3兆3523億円に達するという(’09 年に防衛省が実施した試算結果)。

「航空機産業の裾野は広い。100機のF3が生産された場合、このプロジェクトには1100社以上が参画し、その結果として24万人の雇用機会が創出され、8兆3000億円もの経済効果が得られます」

【三菱重工業】東証1部・7011
総合重機の最大手で、ガスタービンをはじめとする電力施設向け機器から産業機械、航空・宇宙、防衛関連まで守備範囲が極めて広く、各分野で高い実績を残す。「国産旅客機MRJが今秋にも初飛行を予定しており、飛行機作りはお手の物。国産戦闘機の開発でも中心的な役割を果たすのは必至」(河合氏)’16年3月期の経常利益も2期連続で過去最高を更新する見通し。戦闘機開発本格化でさらなる躍進も!

現在株価:789円

単元株数:1000株

最低購入価格:78万9000円

目標株価:1050円

買いメド/損切りメド:790円/ナシ

PER:20.37倍

PBR:1.49倍

【川崎重工業】東証1部・7012
総合重機の大手で、一般的には大型バイクで知られるが、新幹線をはじめとする鉄道車両や航空機でも豊富な実績を残している。最新鋭旅客機B787前部胴体などの製造を担う一方、すでに自衛隊の航空機や潜水艦も手掛けている。

現在株価:628円

単元株数:1000株

最低購入価格:62万8000円

目標株価:860円

買いメド/損切りメド:650円/590円

PER:15.21倍

PBR:2.43倍

【ナブテスコ】東証1部・6268
防衛分野では、航空機の油圧機器やエンジン・燃料機器、操縦系統システム、電源システムなどの製造・修理を手掛ける。同社製の高電圧配電装置がB787に採用される一方、防衛省とも太いパイプを持ち、豊富な納入実績を誇る。

現在株価:3210円

単元株数:100株

最低購入価格:32万1000円

目標株価:3650円

買いメド/損切りメド:3100円/2800円

PER:―倍

PBR:2.71倍


株を買って儲かるかどうかは別にしてもF3の開発はぜひやるべきだろう。開発の成否を握るのは高出力エンジンの開発で少なくとも推力15トン以上のものが必要と言う。ATD-Xに装備されているのは出力重量比が高いとはいえ、推力5トンの小型エンジンでこんなものでは戦闘機など夢のまた夢になってしまう。中国がJ20だのJ31だのと言っているが、あのエンジンの排気口を見ただけでこれはダメだと言うのが分かる。あんな排気口は2世代くらい前のエンジン排気口だ。推力偏向パドルのついたF22やATD-Xとは雲泥の差だろう。中国はロシア製エンジンを勝手にコピーしているが、まともな性能が出ないようだ。機体は何とか似せて作れても高出力エンジンの開発はかくも難しい。防衛省とIHIは開発可能と言うが、日本も戦争中の高性能エンジンの開発で痛い目を見ている。こうした高性能戦闘機など航空機の開発は極めてすそ野が広く技術移転の範囲も極めて広い。軍事的な効果はもちろん、経済効果も極めて大きい。機体とエンジンの開発費に1兆円、2兆円をかけても安いものだと思う。震災で傷ついたF2の再生をきわめてゆっくりとしたペースで進めているのもF3開発へつなげるためとも言う。ぜひF3戦闘機の開発を推進して欲しい。


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