建設資材をめぐり沖縄県の翁長雄志知事の「二重基準」が浮かび上がった。二重基準の下、翁長氏が那覇空港第2滑走路建設で県外石材の使用を認めなければ、工期の遅れは避けられない。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の阻止に固執するあまり、「環境・経済・安全保障のすべての観点で現実的判断が欠けている」(政府高官)との批判があがっている。
ある県幹部は「辺野古移設阻止を目的に第2滑走路建設に協力しないのは常軌を逸している」と翁長氏を批判する。
辺野古移設と第2滑走路建設は無関係だが、翁長氏は、外来生物の混入による生態系への悪影響を理由に、県外土砂や石材の搬入規制を正当化するとみられている。
だが、アリなど陸地の外来生物が付着していても石材を海に沈めれば死滅するとされる。内閣府は県外の石材採取地で洗浄して付着物を落とす対策案も示している。
それにも耳を貸さず、翁長氏が県外石材の使用申請を不承認とした場合、内閣府は主要採取地の沖縄本島北部の本部(もとぶ)町からの調達を積み増すことを余儀なくされ、石材を運ぶ車両も増える。政府高官は「騒音や排出ガスが周辺住民に与える影響は外来生物よりも深刻だ」と指摘し、環境面で翁長氏の判断を疑問視する。
第2滑走路の工期を7年から5年10カ月に短縮することは、仲井真弘多(なかいま・ひろかず)前知事の要望を受け、安倍晋三首相が決断した。滑走路1本の空港としては旅客数が国内2位で、発着回数が限界に達しつつある中、さらなる観光振興と物流強化を見据えた要望と決断だった。
工期短縮は承認手続きなど県の「協力」を前提にしているが、翁長氏が県外石材の使用を認めなければ協力とは正反対の対応。県経済界からは「観光業のビジネスチャンスを潰すつもりか」との不満も渦巻く。工期が遅れれば、平成32年の東京五輪に伴う観光客増加に間に合わないからだ。
工期の遅れは安全保障面でも深刻な問題をはらむ。
中国機に対する航空自衛隊戦闘機の緊急発進は26年度、過去最多を記録し、那覇空港からの発進も増加。空自は27年度中に那覇基地所属のF15戦闘機を約40機に倍増し、那覇空港は過密状態が増す。今月3日の那覇空港での離着陸トラブルも過密状態が一因で、第2滑走路の一日も早い供用開始は待ったなしのはずだ。
辺野古移設反対は反対で良いが、それだけが県政ではない。他にもいろいろと重要課題があるだろう。それを普天間辺野古移設反対だけに焦点を絞ってまるで信仰のように辺野古問題に傾注するのは地方行政の長としてどのようなものだろうか。普天間の固定化、那覇空港の過密化、そうした現実を抱えて知事としてなお信仰のような問題のとらえ方をするのか、憲法9条もそうだが、もっと現実的かつ合理的な考え方が出来ないものだろうか。
日本ブログ村へ(↓)