自衛隊が導入を予定する水陸両用車「AAV7」を使った初の離島奪還訓練が米カリフォルニア州であった。来年度から本格導入するのは52両。数百人を強襲上陸させて有人島をも奪い返せる数だという。ただ、必要性を疑問視する声は根強い。それを未然に防ぐ「グレーゾーン事態」への対応にも課題が残る。



早朝の米海兵隊ペンドルトン基地。朝日が差し込む砂浜に、戦車に似た海兵隊のAAV7が14両、黒煙を吐きながら続々と上陸した。緑や黒の顔料で迷彩を顔にほどこし、対戦車砲や小銃を手に乗り組むのは陸上自衛隊西部方面普通科連隊の隊員らだ。



敵に占拠された離島に上陸し、戦闘のすえに奪い返す想定で計970人が参加した日米共同訓練が25日、報道公開された。



AAV7は、海上では最高時速約13キロで約7時間、地上では最高約70キロで300キロ以上を進める。重武装した隊員約10人を乗せられる。装甲車で、砲弾の破片や銃弾にも耐えられる。「敵に気づかれても上陸を強行する『強襲上陸』作戦を行えるのが特徴だ」と陸自幹部は言う。



上陸するための装備として、すでに海自が戦車を載せられるエアクッション型揚陸艇(LCAC)を6隻保有するが、耐弾性能が低く、敵から攻撃を受ける危険が少ない状況でしか使えなかった。



南西諸島をめぐって日中間で緊張が高まるなか、安倍政権は2017年度末に「日本版海兵隊」と呼ばれる水陸機動団を陸自に創設することを決定。AAV7を、滑走路のない離島に高速で部隊を運ぶオスプレイと並んで重要な装備と位置付けた。防衛省は新年度から52両を導入する計画だ。



ただ、自衛隊内でも空自、海自を中心に「隊員の生命を失う恐れの大きい強襲上陸は不要だ」という異論がある。尖閣諸島のような小さな無人島なら、空と海からの攻撃で敵を壊滅できるからだ。空や海からの補給路を断ち切って敵を孤立させられなければ、強襲上陸は困難だとの指摘もある。


52両のAAV7で運搬できるのは1個旅団戦闘団程度、しかも重装備は運搬できないので個人携行用火器程度、実際には装備や糧食を含めると2個中隊程度だろう。その程度の部隊で制圧できるというのは極めて小規模な敵でしかないだろう。実際にはこれらの部隊に併せて空挺や一般の上陸部隊が続くのだろうが、そのためには制空制海権を確保しないといけない。それならば空爆と艦砲射撃で、・・という海自空自の意見も理解できるような気がする。最後は歩兵でと言うことになるのだろうが、確かに損害の大きい強襲と言うのは出来るだけ控えた方が良いだろう。備えは必要だが、それを使うことのないように祈りたい。


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