オーストラリア政府が、計画中の次期潜水艦として、海上自衛隊の「そうりゅう」型潜水艦の導入に意欲を示している。ただ、豪国内には「対中リスクがある」との不安がくすぶるなど、実現には障害も残っている。
ジョンストン国防相は16日、江渡聡徳防衛相と東京都内で会談し、日本の潜水艦技術の移転に向け協議に入ることで合意した。老朽化したコリンズ級潜水艦の後継として、ディーゼルエンジンの潜水艦では世界最高水準のそうりゅう型の購入や共同開発が有力な選択肢として浮上しているもようだ。
日本政府は今年4月、「武器輸出三原則」に代わる「防衛装備移転三原則」を閣議決定し、武器輸出を可能にした。豪政府が導入を計画している10隻で200億豪ドル(約1兆8600億円)以上と推定される潜水艦輸出が決まれば、初の大型案件となる。ただ日本側には、軍事機密が詰まった潜水艦技術の海外移転を警戒する声がある。
豪州内にも、日本との軍事協力は中国を刺激し、「地政学的リスクを伴う」(豪戦略政策研究所)との慎重論がある。政財界からは、雇用維持のため国内建造を求める声も根強い。
技術は国を救う。潜水艦も戦後米国艦導入から始まって段階を踏んで航洋型の大型巡潜を開発した。その性能は通常型では世界最高水準と言う。ただ、そうした技術をどこまで輸出するのか、導入する方は国内産業育成や地政学的な観点からも検討を加えないといけない。その辺りは単純に技術の問題ではなく、政治経済の問題でもあるようだ。武器の輸出と言うのはかくも複雑だ。その世界に足を踏み込んだ日本には学ばなければならないことがたくさんあるだろう。
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