海上自衛隊イージス艦「あたご」の衝突事故で業務上過失致死罪などに問われた自衛官2人の控訴審判決で、東京高裁は11日、無罪とした1審を支持し、検察側の控訴を棄却した。井上弘通裁判長は「あたご側に回避義務があったとは認められない」と指摘した。無罪判決を受けたのは、あたごの当直士官だった後潟(うしろがた)桂太郎(41)、長岩友久(39)両被告。

衝突に至るまでの漁船の航跡が最大の争点だった。1審・横浜地裁は2011年5月、検察側が主張した航跡を退け、一定の幅を持たせた航跡を独自に作成。仮に検察側の主張に近い西側を航行していたとしても、2隻がそのまま進めば衝突する位置関係になく、あたごに回避義務はなかったと判断した。

これに対し井上裁判長は「被告側に最も有利な(衝突する恐れが低くなる)東側の航跡で判断すべきだ」と指摘し、漁船が右に進路変更するまで衝突の恐れはなかったと認定した。さらに1審が「不明」とした漁船の進路変更の理由については「あたごの進路を見誤った可能性がある」と推測した。

事故当事者の行政処分などを決める海難審判では、横浜地方海難審判所が09年1月の裁決で、あたご側に事故の主因があったと認め、所属部隊に安全航行の徹底を求める勧告を出しており、刑事裁判とは異なる判断をしている。
 
 
事故それ自体は故意に起こそうとして起こしたものではない。かかわった方すべてにとって不幸な事故だった。それは間違いない。間違っていたのはメディアの事故の取り上げ方だった。本来公平かつ客観的であるべきメディアは「自衛隊は悪」をテーマに一大キャンペーンを張った。これが関係者の不幸をさらに増幅した。護衛艦と漁船の航跡を見れば素人でも分かることを、始めに結論ありきでレベルの低いキャンペーンを張るこの国のメディアには辟易する。メディアの使命、原点をもう一度考え直すべきだろう。
 
 
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