尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む南西諸島防衛の「切り札」として、防衛省が潜水艦の増強方針を打ち出している。現在の16隻から2021年度までに22隻に増やす予定で、乗員も新たに約400人が必要になる。だが、特殊な技能が求められる潜水艦では、一人前の乗員を育てるには5年以上の経験が必要とされており、乗員の育成が急務となっている。

◆教材不足◆
「ベント(弁)閉め!」
広島県呉市の海上自衛隊潜水艦教育訓練隊。訓練中の若い自衛官が使っているのは、海自の新鋭艦「そうりゅう型」の計器を模した木製の操作パネルだ。これまでは本物と同じ計器を使って操舵(そうだ)を体験できるシミュレーターを使っていたが、足りなくなって指導官が急きょ「手作り」したものだ。

昨年度100人だった訓練生が今年度、170人に増え、同隊では様々な訓練機材が不足している。シミュレーターは1台十数億円。「急には買い足せないので、苦肉の策です」。学生を指導する岩崎浩一2佐(51)は苦笑いした。寮のベッドも足りず、教官らが近隣の施設から借りてきて対応した。

◆海の忍者◆
同省が1隻500億円以上する潜水艦を6隻増やす方針を掲げたのは3年前。東シナ海で軍事行動を活発化させる中国軍に危機感を抱いたためだ。幹部は「潜水艦は人工衛星でも探知できない『海の忍者』。22隻態勢になれば、抑止効果は大きい」と解説する。

潜水艦を増やせば当然、「サブマリーナ」と呼ばれる乗員も増員が必要だ。海自では現在、約1000人の乗員を擁するが、さらに約400人が必要となる。
 
 
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尖閣諸島を巡っては、周辺の領海警備を担う海上保安庁でも増員が急がれている。昨年9月の同諸島の国有化以降、中国の監視船が周辺海域を航行するケースが常態化し、同庁は全国の巡視船を第11管区海上保安本部(那覇市)に派遣し、24時間体制で尖閣警備を続けている。

慢性的な人手不足状態を解消するため、同庁は新年度、実質120人程度の定員増を目指す。さらに、15年度末までに「尖閣専従部隊」を創設する方針で、新たに500人の船員が必要になる。
 
 
尖閣諸島警備・防衛のために海保も海自も人員の確保に大わらわのようだ。装備は新たに作ったり転用すれば何とかなるが、人はそうはいかない。それなりの能力を備えた人材を育成するには時間がかかる。計画的に人材を育成していかないと船があっても乗る乗員がいないということになってしまう。帝国海軍も搭乗員は少数精鋭主義だったが、太平洋戦争で大量消耗して息絶えた。少子化の中、海保や海自だけでなくどこも人材育成には四苦八苦しているようだ。
 
 
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