尖閣諸島(中国名:釣魚島)を巡る日中の対立が日増しに激化している。台湾の軍事誌・亜太防務の最新号は、日本軍事情報研究会理事の河津幸英氏の分析内容を掲載し、「離島奪還作戦、特に海から陸への上陸において、自衛隊は中国人民解放軍に大きく遅れを取っている」と伝えた。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。以下は同記事より。
安倍首相は「いかなる代価も惜しまず、尖閣諸島を防衛する」と宣言し、自衛隊も「離島奪還訓練」を頻繁(ひんぱん)に実施している。その中国に対する意図は明らかだ。河津氏は、「尖閣有事作戦において決定的な鍵を握る海から陸への輸送手段に関して、自衛隊と解放軍はレベルがまったく異なる。特に揚陸艦や水陸両用強襲車の面で大きな開きが存在する」と指摘し、例を挙げて説明した。
海上自衛隊は標準排水量が8900トンに達する「おおすみ型」輸送艦を3隻しか保有していない。おおすみ型は全通甲板とウェルドックを持ち、ヘリコプターとエアクッション艇を搭載できるが、本質的には人員・車両を輸送する輸送艦だ。
おおすみ型にはヘリの格納庫やメンテナンスに必要な設備が設置されておらず、ヘリコプターの往復は不可能だ。おおすみ型はまた、物資の搭載量も少なく、揚陸艦としての役割を果たせない。島嶼(とうしょ)への上陸作戦を実施するためには、2万トン級の上陸艦の建造が必要になる。その代表格は、中国海軍が急速に配備させた071型揚陸艦だ。
揚陸艦のほかに、自衛隊は砂浜・陸地を争奪する縦方向の作戦に必要な、水陸両用強襲車が不足している。日本には野戦用の水陸輸送車さえなく、長年にわたって渡海作戦の準備を進めてきた解放軍と比べ劣勢が際立つ。
防衛省は米国からAAV7A1水陸両用強襲車を調達することを決定したが、これは理想的な水陸両用車ではない。AAV7A1は40年前に誕生し、防弾性能が劣るばかりか、水面移動時の時速はわずか13キロと解放軍の敵ではない。
報道によると、解放軍は先進的なZTD-05水陸両用強襲車を配備した。ZTD-05は中国の99式戦車と同じ1500馬力のエンジンを搭載しており、水面移動時の時速は40キロに達する。また自衛隊は、高い技術を必要としないが非常に重要な揚陸艇を持たない。自衛隊は現在6隻の揚陸艇を保有しているが、簡易版の上陸用舟艇や機械化上陸用舟艇などを1隻も持たず、砂浜を奪い上陸する能力が懸念される。
基本的に自衛隊は着上陸戦を戦うようには建造されてこなかった。輸送艦は1個連隊戦闘団程度を戦況に応じて揚陸させるために保有している。本格的な上陸戦闘は考えられて来なかった。今回、南西諸島など離島での争奪戦が予想されることから急きょ上陸戦闘を検討し始めた程度だ。
しかし、考えてみれば尖閣などの小島に師団や旅団単位の大軍を展開できるわけではない。あんなところに大部隊を展開させれば航空攻撃の目標になるだけだ。せいぜい1個か2個中隊程度だろう。その程度なら大規模な両用戦兵力など必要ない。そんな部隊を展開させるには制空・制海権を完全に掌握しておかないといけない。それよりも垂直離着陸できる高速の輸送機の方が大いに役に立つだろう。それが自衛隊がオスプレイに注目する理由だろう。
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