中国艦船が射撃用の火器管制レーダーを海上自衛隊の護衛艦などに照射した問題で、小野寺五典(いつのり)防衛相は9日、レーダーの写真や動画映像などを、照射の証拠として公開を検討していると表明した。中国が「通常の監視レーダーだった」と反論しているため。ただ、レーダー電波を解析したデータは防衛機密に当たるとして、公開すべきでないとの意見もあり、何を公開するか慎重に検討を進めている。

小野寺氏は9日、東京都内で記者団に、「データは洋上ではなく、(高い技術を持つ)横須賀の専門部隊で分析した。事実は間違いないと確信している」と強調した。

レーダー照射は1月30日にあったが、防衛省は確証を得てから5日に照射を公表しており、安倍晋三首相は8日のBSフジ番組で中国に謝罪を要求。首相官邸にも「言われっぱなしではだめだ」(政府高官)と証拠開示を主張する意見が出ている。

監視レーダーは360度回転して周囲の相手の位置を探るが、火器管制レーダーは射撃のために目標を一直線に追尾する。小野寺氏は9日の読売テレビの番組で、「(中国艦が)視覚的にも、映像としてもそのような使い方をしている」と述べ、火器管制レーダーが作動していたことは、外見からも確認できたと強調した。

中国の反論を受け、外務、防衛両省は開示できる証拠の範囲を協議している。護衛艦が受信したレーダー電波の解析結果を公表すれば、「自衛隊の分析能力を知られてしまう」(防衛省幹部)との危惧は強い。小野寺氏も「出せるデータと出せないデータがある」と語る。写真と映像に加えてレーダーの分析結果を公表しても、「中国は絶対に自分の非を認めないだろう」(官邸スタッフ)との懸念も残る。

日中の事実関係を巡る応酬がこう着すれば、関係悪化が長期化するのは必至だ。ただ、中国側は日本が照射を公表した5日以降、沖縄県・尖閣諸島周辺での公船の示威活動を沈静化させており、レーダー照射の公表は効果があったとの見方が出ている。このため、政府内には日中防衛当局のホットライン設置など、再発防止策に重点を移すべきだとの指摘も出ている。
 
 
中国は今回のことではかなり焦っている。あちこちのメディアで「ねつ造だ、ねつ造だ」と騒ぎ立てているのも中国が今回のことを正当化し、メンツを保とうと焦っている証拠だろう。その証拠に尖閣周辺の軍の活動は沈静化している。これは先走った軍の行動を制して灸を据えたうえで日本に対して暗黙の謝罪をしていると言っても良いだろう。国際社会も同様の見方をしているのだろうし、敢えてここで情報を公開して開き直らせるよりも表で中国の面子を立ててやって水面下で事態終息の交渉に優位に立つというのも一つの方法ではないだろうか。緊張を煽り相手の失態に乗ずるのも外交かも知れないが、一歩譲って対局を収めるのも外交ではないだろうか。
 
 
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