航空自衛隊の次期主力戦闘機F35の国際共同生産をめぐり、政府が日本製部品の対米輸出を武器輸出三原則の「例外」として認める方針を固めたことで、三原則が形骸化するとの懸念が高まっている。民主党政権は11年末、日本企業による武器の共同生産を事実上容認したが、今回は三原則が禁じた紛争当事国への武器移転につながる可能性が浮上。三原則の「国際紛争の助長を回避する」理念と矛盾しかねない状況になっている。
「三原則との関係をどう調整するか、政府で検討している」。菅義偉(すが・よしひで)官房長官は4日の記者会見で、F35の日本製部品の輸出が三原則で妨げられないよう、官房長官談話などを発表することを検討する考えを示唆した。
日本はF35の導入とともに、部品製造への参加を決定済み。日本企業からも参加に強い要望があり、政府は日米同盟強化と国内の防衛産業育成のための戦略と位置づけている。
日本が今回、「例外」化の根拠としようとしているのは、F35の機体を組み立てる際、日本製の部品はそれほど重要ではないという認識だ。日本はF35の開発そのものには参加しておらず、防衛省幹部は「共同生産する国がどこでも作れる部品を日本も作るだけ。日本の貢献度は極めて低い」と強調している。
また、日本製部品を輸入した米国は協力関係にある国のため、政府関係者は「F35の機体が日本が知らない間に第三国に渡ることはない」とも説明する。米側は引き渡し先を日本へ事前に通知する意向を示していることがその理由だ。しかし、日本が引き渡しに同意しなくても、米国が第三国にF35を引き渡す可能性は高い。
そもそも11年末の官房長官談話による武器輸出三原則の緩和は、F35の共同生産も狙いの一つだった。だが、その後、F35を導入予定のイスラエルが「三原則にある紛争国に当たるのではないか」という懸念が浮上。このため安倍政権は「例外」の論理を編み出そうとしているが、場当たり的な対応を繰り返せば、三原則はなし崩しに空文化しかねない。政府高官はこうした事態を危ぶみ、「三原則の考え方を一度整理すべきだ」と話した。
米国にせっつかれてやむを得ずにこんな措置をしたのだろうが、どうも国家の尊厳にかかわりそうにも思える。神学論争の真っただ中で決められた武器輸出三原則それ自体にも問題なしとは言えないが、武器は他国に売らないというのも一つの見識だろう。それをこうしてその場の都合だけで簡単に変えても良いのかと言うところに問題がある。日本にしてもそれを取り巻く環境にしても時々刻々と変化するのだからそうしたものを勘案しながら中長期的な展望を持って議論をすべきだろう。そうした日本人の視野狭窄近視眼的な思考は日本人の重大な欠点だろうし、また、一度決めたことを状況が変化してもかたくなに守り通そうとするのも羹に懲りてなますを吹きまくるの類だろうが、この辺りでしっかりと現実と将来の展望を見つめて国家の行く末を考えるべきではなかろうか。
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