千葉県房総半島沖で2008年2月、海上自衛隊のイージス艦「あたご」と衝突した漁船「清徳丸」の父子が死亡した事故で、業務上過失致死などの罪に問われ、一審横浜地裁で無罪とされたあたご元水雷長の長岩友久(39)、元航海長の後瀉桂太郎(40)両被告について、東京高裁(井上弘通裁判長)は11日、判決期日を来年6月11日に指定した。横浜地裁は昨年5月、あたごに回避義務はなかったとして無罪を言い渡し、検察側が控訴。今年2月に控訴審が始まった。
この裁判のことは以前にも書いたが、メディアを中心とした「自衛隊は悪」という構図を裁判所が独自の調査で覆した裁判だと思っている。実際にどのような捜査が行われたのか詳しくは分からないが、自衛隊側を被疑者として筋書きを描き、それに従って証拠を収集した捜査のように思える。漁船からみればイージス艦はダンプカーどころではない巨大船だろう。それが直進してくるのならやり過ごすなり何なりの方法を取ればよかった。
もしも見ているのならそれができたはずだ。狭い水域で小型船がひしめくように航行しているのなら大型船舶がそれをいちいち右に左に避けていたら危なくて仕方がない。低速で直進し小型船がそれを避ける方が合理的だろう。わざわざイージス艦の前を横切るあの漁船の進路は理解ができない。世論を巻き込んで大きな事件となったことからそれなりのことはせざるを得ないのだろうが、どうも刑事事件にはなじまないようにも思える。ある海事関係者が言った言葉が記憶に残る。
「ごく普通の海事事故なんですがねえ、海って人が思うほど広くないんですよ」
来年の控訴審ではどのような判決が出るだろうか。
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