本当に必要な外遊か、それとも政権末期の思い出づくりの“卒業旅行”なのか-。大型連休を利用した野田内閣の閣僚たちの外遊。連休中に北朝鮮が3回目の核実験に踏み切るとの見方を念頭に、野党は連休前、外遊を控えるよう警告していた。それを振り切って外遊を敢行した閣僚たちは、幸いにも不測の事態は起こらず、思う存分羽をのばしたようだ。
連休中に野田佳彦首相のほか、11閣僚が外国出張。一方で、北朝鮮は最近、韓国に対し「聖戦」としての「特別行動を開始する」などと威嚇的な態度を取っており、近く核実験が行われる可能性が指摘されている。このため、政府は連休前の先月27日の閣僚懇談会で、核実験が行われた場合、直ちに安全保障会議を開催し、情報収集や分析の段取りも確認した。
だが、不測の事態が発生した場合、安全保障会議を開いても「メンバーの10閣僚のうち8人が海外に行く。北朝鮮が核実験したら迅速に対応できるのか」(自民党の小野寺五典外交部会長)との反発が噴出した。先月26日の衆院議院運営委員会理事会でも自民党は、「安全保障の観点からいかがなものか」と一部閣僚の出張に反発し、政府は松原仁国家公安委員長のベトナム訪問と、前田武志国土交通相のドイツ訪問を取りやめた経緯がある。
連休中に強行した閣僚外遊が初動対応の遅れを招いた教訓がある。鳩山由紀夫首相時代だ。平成22年4月、宮崎県の農場の飼養牛に口蹄疫の感染が確認された。感染拡大を防ぐため、東国原英夫宮崎県知事(当時)らは政府に対し早急な対策を求めたが、赤松広隆農水相(当時)は5月1日から5日までメキシコなど中南米への外遊を優先し、口蹄疫問題への対応を役所任せにした。だが、閣僚不在の間、事態は悪化の一途をたどった。
「反省するところは全くない」。赤松氏は帰国後、自身の責任を認めず、こう強弁していたが、「外遊する暇があるなら宮崎に入るべきだ」との批判は収らなかった。結局、口蹄疫問題への対応の遅さを追及された衆院農林水産委員会で、赤松氏は「結果としてこれだけ広がったことに対して申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と謝罪に追い込まれた。
それから2年。今年の大型連休の外遊ラッシュをみれば、過去の苦い教訓から何も学習していないことがうかがえる。
確かに、必要な外遊もある。大型連休中にしか日程が確保できないケースもあるだろう。野党幹部は個人的な見解とした上で、「野党側からすれば、閣僚が不在ならば質疑しないということになり、閣僚は半年ぐらい国会に拘束される。しかし、他国の閣僚はどんどん海外にでる。その意味では日本の政治が内向きになっている。必要な時には海外に行くべきだ」と指摘する。
こうも続ける。「本当は国会開会中でも副大臣が対応できるようにし、大臣が外にでられるようにするのが大事だ。他国は大臣がきているのに、こっちは副大臣では対等な会談ができないし、積極的な外交を展開するのは決して悪いことではない」
その上で「ただ、調子に乗って『みんなが行くから俺も行く』『海外に行くことを決めてから、用件をつくる』という不純な動機は良くない。誰とは申しませんが…」とクギを刺す。
連休明けから与野党攻防が激化する「消費税国会」。外遊の成果があったなら堂々と国会で説明してもらいたい。単なる“卒業旅行”なら猛省を求めたい、といっても、もう手遅れか…。
何もないからねえ、民主党の連中には政策や外交方針など。ただ、与党の特権を満喫するだけのレベルだからなあ。何もない、何もしない、そして土壇場になると開き直るか、とんでもないパフォーマンスで煙に巻く。この国の政治はほとんど末期的な段階で一か八かの荒療治が必要なのかもしれない。
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