第53次南極観測隊(山岸久雄隊長)を支援するため昨年11月に日本を出航した南極観測船「しらせ」(中藤琢雄艦長、1万2650トン)が厚い海氷に阻まれ、昭和基地への接岸を断念したことが21日、関係者の話で分かった。しらせが接岸を断念するのは平成5~6年の第35次観測隊の支援以来、18年ぶり。
しらせは当初、年明けの接岸を目指していたが、悪天候や厚さ4メートルを超える氷の影響などで遅れが生じていた。
21日現在は、昭和基地の西北西約21キロ地点で、氷を砕きながら航行。接岸は断念するが、可能な限り昭和基地に近づく努力は続ける。
その上で、第53次観測隊が越冬するために必要な燃料や食料などの物資は、沖合のしらせから、ヘリコプターと雪上車で運ぶことになる。
今回、しらせは同隊支援のほか、豪政府の要請を受け、豪モーソン基地周辺の氷を切り開く支援も行う予定だったが、困難な情勢となった。
今年は、1912(明治45)年1月28日に白瀬矗(のぶ)陸軍中尉が率いる「白瀬隊」が初めて南極に足を踏み入れ、日章旗を立ててから100年にあたる。
世界最高クラスの性能を誇る海上自衛隊砕氷艦「しらせ」も昭和基地への接岸を断念せざるを得ないほどの厚氷とは温暖化とは言え、南極もなかなか手厳しい。嘗ての宗谷の頃とは輸送手段に格段の能力差があるので物資の輸送に大きな支障はないだろうが、こんなことがあると予算をケチらずに初代「しらせ」の2倍ほどの排水量のある原案どおりの2代目しらせを建造しておいても良かっただろう。しかし、それでも手に余る氷が立ちはだかることもあるのだろう。自然は手強い。
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