鉢呂吉雄経済産業相が東京電力福島第1原発の視察後、東京都内で報道陣の一人に「放射能をつけたぞ」との趣旨の発言をした問題を巡り、民主党内で10日、「自発的辞任になるのではないか」などと経産相の辞任論が浮上した。野党は鉢呂氏の自発的辞任か野田佳彦首相による罷免を求め、首相の任命責任も追及する構え。原発を所管する重要閣僚が野田内閣発足早々に辞任すれば、政権への打撃になるのは必至で、首相はぎりぎりの判断を迫られている。

首相は10日早朝、宮城県と岩手県の被災地視察に向け東京都内の議員宿舎を出発した。その際、鉢呂氏は辞任すべきかとの記者団の問い掛けに何も答えなかった。

民主党の福山哲郎前官房副長官は10日午前のTBSの番組で、鉢呂氏が第1原発周辺の市町村を「死の町」と発言したことに、「不適切だ。今後いろいろな動きが出てくる」と語り、進退問題に発展するとの認識を示した。閣僚経験者は「福島の被災者の気持ちを逆なでする言動で、きつい。自発的辞任になるのではないか」と語った。

民主党の前原誠司政調会長は10日午前、記者団に「事実とすると大変由々しきことだ。今日中にしっかりと真意を説明することが大事だ」と述べ、早急に説明責任を果たすよう求めた。
一方、自民党の石破茂政調会長は10日午前、「自ら辞任するか、野田首相が罷免しなければ(国会は)動かない。(鉢呂氏の)もとで審議するのは難しい」と述べ、鉢呂氏が辞任しなければ13日召集の臨時国会での審議への影響は避けられないと指摘。「(衆院での)不信任決議や、(参院での)問責決議にも十分に値する」と強調した。山本一太参院政審会長もTBSの番組で「この話は大きくなる。結局は経産相を辞めざるを得なくなるから、その前に辞任された方がいい」と自発的な辞任を促した。

鉢呂氏は8日、福島第1原発などを視察。帰京後、防災服を着替えないまま議員宿舎に帰り、報道陣の一人に防災服をすりつけるようにし「放射能をつけたぞ」との趣旨の発言をした。9日午前の記者会見では視察に関し「残念ながら周辺市町村の市街地は人っ子一人いない、まさに死の町という形でした」と発言。首相が謝罪と訂正を求めたことなどから、9日午後に再び記者会見し発言を撤回し謝罪した。
 
福島第一原発周辺の住宅地を見て、「死の町」と発言したことは、あまりにも正直に自分の印象を口にしたということ、「放射能をつけたぞ」発言はただあまりにも子供じみたおふざけだったんだろう。ただ、政府閣僚という重要公人と言うことを考えれば発言や行動は極めて慎重であるべきだろう。
 
前2代の民主党内閣でも失言は多かったし、自民党内閣でも頻発していた。単に個人としての発言や行動であれば悪ふざけ程度の話で済むことで、実際に本人にも何かしらの悪意もないのだろうが、政府閣僚ともなるとそうもいかないだろう。ましてその地域に暮らしていた人たちがいて、その人たちが苦難の生活を送っていることを考えると公人として口にして良いこと悪いことがある。
 
受け止め方の問題もあるだろうが、要するに政府の責任ある重要閣僚としての自覚が不足しているということだろうか。民主党は当該閣僚をかばおうとしているのか、政権へのダメージを考慮しているのか、こうした場合の対応が遅いように思う。これも考え方だろうが、個人としてみれば、「ごめん」で済むことかもしれないが、公人としてはそんな程度の話ではない。後を引きずらないように傷口が広がらないうちに辞任すべきだろうが、後がいないのだろうか。
 
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