菅直人首相が全原発を対象にストレステスト(耐性試験)を実施する方針を指示し、原発再稼働問題の政府対応が混乱している。九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働に向け、海江田万里経済産業相の動きが本格化した直後の方針転換だけに、民主党内からも「ちぐはぐと言われても仕方がない」(岡田克也幹事長)との批判が続出。はしごを外された海江田氏からは7日、辞任を示唆する発言まで飛び出し、首相の唐突さが退陣圧力を強める結果となっている。

首相は7日の参院予算委員会で「従来の法律なら再開は経産省原子力安全・保安院のチェックで決められるが、福島第1原発事故の後では国民の理解を得るのは難しい」と繰り返した。しかし、野党側は政府内の調整不足を追及。「なぜ突然言うのか」(自民党の片山さつき氏)、「場当たり、ちぐはぐ、連携が悪い」(たちあがれ日本の片山虎之助氏)と批判した。

東京電力福島第1原発事故の長期化を受けて、原発の安全審査体制に対する国民の関心は高まっている。首相は予算委で「国民の皆さんに大変重要なことと考えていて、決して個人的な、別の思惑でやったことではない」と強調。しかし、退陣圧力に抗し続ける首相がにわかに持ち出したことで、与野党に「首相の新たな延命策ではないか」との疑念を招いた。

首相を取り巻く空気は冷ややかだ。枝野幸男官房長官は7日の記者会見で「より安心感を持っていただくプロセスだが、その趣旨が十分伝わってない。むしろ一時的に不安を高めてしまっている側面があり、反省すべき点がある」と述べざるを得なかった。

自民党の谷垣禎一総裁は7日の記者会見で「明らかに閣内不一致。原発を抱える自治体の不安、電力供給への国民の不安と混乱を助長する」と批判。公明党の山口那津男代表も同日の党中央幹事会で「菅政権は思いつきでものを言い過ぎる。『不信バラマキ内閣』と言わざるを得ない」と皮肉った。

民主党内からも首相批判が公然と噴き出した。岡田氏は7日の記者会見で「本来なら3月、4月に議論しておくべきで、今ごろ出てくるのは釈然としない。関係閣僚と意思疎通し、政府方針を明確にしてほしい」と指摘。小沢一郎元代表グループの議員は「首相が海江田氏の後ろから矢を放つ。政権は末期症状だ」と語った。
 
ものすごい内閣になって来た。もうとっくにものすごい内閣になっているのかもしれないが。閣僚の公の発言をひっくり返す総理がいるとはなかなかのものだ。どうせここまで来たら保身の動物的な感で、最後の手段である解散総選挙に備えて反原発の波を自分の方に呼び寄せておこうという浅慮遠謀だろう。
 
ギリシャ神話に出てくるミダス王は手に触れるものがすべて黄金に変わってしまったというが、この男は接する相手をすべて敵に変えてしまうのだろう。それでも権力に縋り付きたいのだろうか。最後には国民すべてを敵に変えるかもしれないが、それも己の身から出たさびということだろう。「刀折れ、矢尽きた」時にはご本人とこの国がどうなっていることやら。それもこれもバ菅と国民の選択ならやむを得ないが。
 
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