菅直人首相は4日夜、民主党の石井一選対委員長と首相公邸で会談し、自らの退陣時期について「11年度2次補正予算案と特例公債法案までやらせてほしい。地位には恋々としない」と述べ、今夏までに退陣する意向を表明した。枝野幸男官房長官は同日のテレビ東京の番組で「長く居座る気持ちは首相には全くない」と発言したほか、岡田克也幹事長も宮城県白石市で「首相は延命を図ることは全くない」と記者団に述べていた。首相の夏までの退陣が固まったことで、9月の菅首相による訪米も困難な情勢となった。

首相は2日、内閣不信任決議案採決直前の党代議士会で、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の対応に「一定のめど」をつけた時点で退陣する意向を表明。同日夜の記者会見で「一定のめど」について「(原発が)冷温停止の状態になること」と述べ、早期退陣を事実上否定した。

だが、2日の菅首相との会談を「退陣の確約」と受け止めている鳩山由紀夫前首相は、首相を「ペテン師」と痛烈に批判。党内の首相に批判的な勢力が両院議員総会の開催を求める署名を集めるなど、党内対立が再び激化していた。

枝野氏はテレビ番組で、首相が言及した原発の冷温停止について「同じ『めど』という言葉を使い、代議士会での発言と混同されている」と指摘し、冷温停止と退陣時期は関連しないとの見方を示した。さらに番組後、菅首相の訪米について「(首相は)出るとも出ないとも言っていない」と記者団に語った。

民主党の安住淳国対委員長も4日、東京都内で記者団に「首相は早晩、重大な決断をすると思う。夏を区切りにするのは一つだ」と述べ、夏に退陣するとの認識を示した。退陣時期については「(11年度)第2次補正予算案を編成して、できれば成立することを考えても、そう遠くない時期だ」と述べた。

枝野氏らが一斉に「早期退陣論」に言及したのは、菅首相の退陣否定が「居座り」と受け取られるのを打ち消し、遠くない時期の退陣を明確にしなければ、党内や野党の反発を抑えられないとみて、事態の沈静化を迫られたものだ。野党の協力が得られなければ、11年度予算の執行に不可欠な特例公債法案の成立も見通しが立たず、今後の政権運営が極めて難しくなると判断した。

首相に近い閣僚は「首相は『ペテン師』とまで言われて居座る気はない。首相の考えは枝野、岡田、安住氏の発言と基本的に同じだ」と述べ、こうした認識を首相自身も共有しているとの考えを示した。別の党幹部は「(枝野氏らは)週末に一斉に発言する打ち合わせをしていた。首相とも話はしている」と語った。

一方、自民党の石原伸晃幹事長も4日、BS朝日の番組で「長くても7月、できれば6月に辞めてもらいたい」と述べ、菅首相のもとでは政権に協力しない姿勢を明確にした。
 
遂に保身の天才も万策尽き果てたか。それも自身の撒いた種、やむを得ないだろう。要するに人の上に立つ器ではなかったということだろう。人の上に立つのはなかなか難しい。能力だけでなく、人を包み込む器量というものが必要だろう。
 
しなやかに、そして強かに政策を実行するために、識見、洞察力、判断力、決断力に加えて、閣内の責任を引き受ける潔さが必要だろう。最高指揮官は右か左かを決断して結果に対する責任を負うのが最大の任務だろう。誰かが言っていたが、この人は野党の時が一番生き生きしていた。それは自由自在にものを言っても責任を引き受けることがなかったからだろう。
 
今の内閣でできればそれに越したことはなかったのだろうが、内外にここまで嫌われてはどうしようもないだろう。菅氏が退陣した後に1年程度の期限を切って与野党で連立した震災復興内閣でも立ち上げて、とにかくこの災害からこの国を立ち直らせるべきだろう。それが終わった段階でお互いに政策を整理して選挙で決着を着ければいい。その時は政党だけでなくこの国の有権者も国家に対する責任とその民度を問われることになるだろう。
 
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