自民、公明、たちあがれ日本の野党3党は1日夕、菅直人政権に対する内閣不信任決議案を衆院に共同提出した。2日午後の衆院本会議で採決される。民主党執行部は否決した上で、造反者には除籍(除名)などの厳しい処分で臨む方針だが、小沢一郎元代表と鳩山由紀夫前首相が不信任案に賛成する意向を固めた。小沢グループを中心に同党議員70人以上が造反する構えをみせており、小沢元代表らは新党結成も視野に入れている。民主党は分裂含みで不信任案の採決に突入する見通しとなった。

◇政務三役5人、辞表提出

小沢元代表は1日、側近議員に「(小沢グループの)1期生が結束してくれているのは尊い。副大臣・政務官も辞める覚悟でやっている」と不信任案に賛成する意向を伝えた。鳩山氏は前夜に首相と会談して「党が分裂するようではいけない」と辞任を促したが首相は応じず、鳩山氏も賛成する意向を固めた。

1日夕には小沢元代表に近い鈴木克昌総務、三井辨雄国土交通、東祥三内閣府の3副大臣と樋高剛環境、内山晃総務の2政務官が首相官邸に辞表を提出し、不信任案に賛成することを記者団に明言した。同日夜、小沢グループが東京都内のホテルで開いた会合には原口一博前総務相も含む70人以上が出席した。

衆院の民主党会派は305人で、野党が全員、不信任案に賛成した場合、国民新党、新党日本、与党系無所属を加えた313人から74人以上が賛成に回れば可決される。ただ、鳩山グループの結束は微妙で、閣内にいる海江田万里経済産業相と大畠章宏国土交通相は不信任案に反対することを表明。党執行部と「小鳩」陣営の間で多数派工作が激化している。

民主党執行部は不信任案が可決されれば衆院解散・総選挙に踏み切る構えで、造反者には除籍や離党勧告などの厳しい処分を科す方針。安住淳国対委員長は「どなたであっても処分の対象にせざるを得ない」と記者団に語り、代表経験者の小沢元代表、鳩山氏も処分する姿勢を示した。小沢元代表は新党結成も辞さない考えを周辺に伝えており、民主党は不信任案の可決・否決にかかわらず、分裂する可能性が強まっている。

野党側も一枚岩ではない。共産党の志位和夫委員長は1日夜、緊急に記者会見し、「自公両党の党略的な行動に手を貸すことはできない」として2日の採決を棄権することを明らかにした。共産党は賛成する方針だったが、不信任案が可決される可能性が出てきたとみて、混乱回避に動いたとみられる。社民党も棄権か反対する方向で調整。両党を合わせた15人が棄権すれば、不信任案の可決には与党系から82人以上の賛成が必要となり、社民党が反対なら85人以上にハードルが上がる。
 
民主党は政権奪取後、2年を経ずに分裂となった。政権欲しさに寄せ集まった勢力なので政権運営がうまくいかなくなればこれも自然の成り行きだろう。菅総理もいよいよ行き詰った。内閣不信任案を否決できても衆議院の勢力は大幅に減少することになる。もう衆議院再可決の奥の手も使えない。権力の座が瓦解すればのこ政党も崩れ去るのは目に見えている。
 
菅総理と言うのは市民運動家だったからか、世間の耳目を集める奇手にはなかなか長けていたが、それはあくまでも奇をてらったものであって現実的な戦略が何もなかったことはこの内閣の泣き所だろう。また、ずっと昔、左翼運動が盛んだったころに、組織拡大のために誰でも彼でも声をかけては説得するのを、「オルグ」と言ったが、震災後に知恵に詰まると谷垣総裁に声をかけたのもその類なのだろうか。しかし、政権政党として政治は現実的で客観的で、そして具体的でないと国民が困ってしまう。この人は自身の保身に走るあまり、それを理解できなかったのではないだろうか。
 
今回の内閣不信任案が可決されるかどうか、未だ微妙のようだ。小沢派、鳩山派が結束して賛成票を投じれば可決される可能性もあるが、可決されても否決されても政界は混乱するだろうし、次の政権の形が見えてこない。当面は民主党の一部と自民党を中心とした野党の連合政権でここしばらくを乗り切って、その後総選挙で本格政権という形だろうか。ばら撒き政策に見ごとに乗って思い切り転んだ日本の国民もこれで目が覚めるだろうか。
 
確かに普天間、尖閣と国際関係でも黒星続き、経済も停滞しっぱなし、政策はまるで進まないなど国内問題でも菅内閣は何ら点数を上げてはいない。原発対応は不適切かつ不透明で、震災の復旧もままならず、復興に至っては、その青写真さえ描けないでいるのは情けない限りだ。しかし、今なぜ内閣不信任案なのか、それがすっきりと見えてこず、どこかに引っかかるものがあるのも事実だ。

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