東京電力福島第1原子力発電所事故で高濃度の放射性物質(放射能)を含む汚染水が海に直接流出し、付近の海水の放射能濃度が法令基準の約1千万倍に達していることが判明した。これは、通常運転時の原子炉内の水の約1千倍に当たる。経路を特定できれば、流出を阻止して一段の海洋汚染を食い止めることができるとの期待もあるが、コンクリートによる封じ込めには失敗した。

別の場所からも含め流出が続けば、放射性物質が魚などに取り込まれ、生態系に影響を及ぼす恐れは否定できない。流出阻止に加え、根源の汚染水の排出・回収が急務だ。
 
福島第一原子力発電所で、施設にできたひび割れから高濃度の放射性物質を含む水が海に流れ出ていたことがわかり、「東京電力」は3日、特殊な化学物質を投入して水の流出を防ぐ考え。

汚染された水が流れ出ていたのは、2号機の海水を取り込む取水口の近くにある「ピット」と呼ばれる縦穴。東京電力によると、ピットにたまっていた水の表面から一時間あたり1000ミリシーベルト以上という高い値の放射線量が計測された。このピットの側面にひび割れがあり、そこから汚染された水が海に流れ出ていたという。

ピットは電源ケーブルが通るトンネルの縦穴で、東京電力は2日、ピットにコンクリートを流し込んでひび割れを塞ぐ作業を進めたが、水の流出は止まらなかった。このため、東京電力は3日、ピットより上流側の天井に穴を開け、そこから「高分子ポリマー」という化学物質を投入することにした。高分子ポリマーは、水を吸収すると約50倍に膨らむ性質があり、紙おむつなどに使われているという。

2号機では、タービン建屋や外の作業用トンネルにたまった水から極めて高い濃度の放射性物質が検出されていて、こうした水がピットに流れ込んでいる可能性がある。経産省の原子力安全・保安院は、他にも汚染された水が海に漏れ出している場所がないか確認するよう東京電力に指示したが、今のところ他のピットからは水漏れは見つかっていないという。

細野豪志首相補佐官は3日朝のフジテレビの番組で、東京電力福島第1原子力発電所からの放射性物質の漏えいを止めるめどについて、「これ以上の放射能の外部への排出は、もう許されない。おそらく数カ月後が一つの目標になる」と述べた。また、こうした目標を東電も国民に示すべきだとの考えを示した。番組終了後、細野氏は記者団に「事故直後は、炉心溶融(メルトダウン)の危機的な状況を止めるためなら、放射性物質が出ることも認めざるを得ない状況にあった。でも、そういう状況は脱した」との認識を示した。
 
震災発生以来、次から次へと問題が浮上する福島第一原発、未だに終息への道のりは見えない。当初から原子炉の冷却のために大呂の水を注入していたが、水位が上がらないなどと言っていたが、その時点で原子炉の圧力容器からの水漏れがあったのだろう。
 
最近は冷却の問題は何も言わなくなったが、これも本当に冷却が出来ているのだろうか。大量の水を注ぎ込んでそれが建屋の中に汚染水となって溜まっていたというのも、やむを得ないこととは言え、何だか間の抜けた話で、東電も政府も状況を把握できていないのではなかったのかと思えるような話だ。
 
この先、どの程度の期間が必要なのか分からないが、しっかりと状況を把握して正確な情報公開を行って欲しいと思うのは誰も同じだろう。当面は放射線汚染物質を封じ込めるのが急務なのだろうが、それが数か月かかるということなのだろうか。関係者の決死の作業は称賛に値するのだろうが、お手上げならお手上げとはっきり宣言して技術のあるところに支援を仰ぐのも方法と思うが、・・・。
 
今後、原発自体の廃炉ということになれば数十年の期間を要するのだろうが、汚染物質だけは早く封じ込めないと風評を含めて世界中に影響を与えてしまうことになる。そうなってしまったら内外に日本が笑いものになるなどという程度では済まない影響を与えるだろう。米国やフランスなどが直接手を出し始めたのもその辺りを憂慮してのことなのだろう。
 
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