防衛省が、民間フェリーを高速輸送艦として転用することを検討していることが20日、分かった。中国による東シナ海の離島侵攻の脅威が高まる中、新規建造はコスト高で困難なため、転用によって、奪還作戦で陸上自衛隊部隊を機動展開させる際の輸送手段の「切り札」として位置づけている。
 
高速輸送艦は在日米軍再編に関する平成17年の日米合意で導入が明記された。転用を検討しているのは「津軽海峡フェリー」(北海道函館市)が2隻所有する高速フェリー。全長112メートル、時速約67キロの双胴型で高速フェリーとしては世界最大級。乗客774人、トラック33台、乗用車195台を運べる。同社は1隻約90億円で購入し、青森-函館間で運航させたが、燃料高騰による赤字で20年10月から運航を休止している。

東シナ海での島嶼(とうしょ)奪還作戦では、西部方面普通科連隊(長崎県)が中核となる。西普連は隊員約600人で、同社のフェリーは輸送能力を満たす。高機動車や軽装甲機動車といった装備も搭載可能だ。昨年12月の「防衛計画の大綱」は「(島嶼攻撃には)機動運用可能な部隊を迅速に展開」と明記した。だが展開させる輸送手段が担保されていない重大な問題点を抱えていた。防衛省では民間フェリーの転用でその穴を埋め、本州の部隊を南西方面に展開させる「スイング戦略」の輸送手段としても有効と判断している。

また、東南アジアをはじめ海外での災害時、国際緊急援助活動に部隊を派遣する際にも活用を想定する。在沖縄米海兵隊は日本本土や西太平洋に展開する際、オーストラリアの民間高速フェリーをチャーターし、高速輸送艦として利用している。自衛隊がフェリーを導入して海兵隊の輸送機能を代替すれば、本土への訓練移転拡充を米側に求める交渉材料になる。転用を図るフェリーについて、中国が購入に興味を示しているとの情報もあるため、防衛省は検討を急いでいる。6月までに結論を出し、24年度予算案概算要求にも盛り込みたい考えだ。

これはまことに結構なアイデアで、すぐに休眠中の高速フェリー2隻を購入すべきだろう。そうすれば船会社にも自衛隊にも利益になるだろう。重装備は無理だとしても1個連隊戦闘団程度の兵力を高速で輸送できるのはかなりの魅力だろう。甲板が広いのでCIWSなどの自衛兵器の装備も容易だろう。
 
ただ、問題は維持管理ということになりそうだが、慎重な自衛隊が触手を伸ばしているということはさほどの問題はないのだろう。この船は双胴式の高速フェリーとして、オーストラリアのインキャッ社ホーバート造船所で建造された。同社の112m級ウエーブピアサー2番船で、青森港 - 函館港間をおよそ夏季1時間45分、冬季2時間15分、深夜便2時間30分で結んだそうだ。総トン数は10,712トン、満載時の最高速は36ノットというからなかなかのものだ。
 
中国が購入に興味を示しているというが、こんなものをさらわれた日にはとんでもないことだ。中古船舶の相場は分からないが、2隻まとめて7、80億ではどんなものだろう。動的防衛力などと言葉は付けたが手段が伴わないが、これを購入すればそれなりの能力は確保できるだろう。
 
足はどのくらいか分からないが、米軍がチャーターしている同じウエーブピアサーが沖縄から横浜まで来れるのだから離島防衛には問題はないだろう。でも運ぶことは出来ても港湾設備のない場所で揚陸をどうするかこれはちょっと問題かもしれない。
 
 
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