11年度予算編成は、政権交代の熱気が残る中で行われた前年の編成作業から一変、民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)実現に向けた取り組みが大きく後退した。無駄削減による財源捻出が思惑通り進まず、財源不足が鮮明になったのが背景。頼みの特別会計など「埋蔵金」も近年の大幅な取り崩しで枯渇寸前。もはやマニフェストの完全実施は不可能だが、民主党内では小沢一郎元代表をはじめ依然「公約堅持」を求める声が根強く、支持率が低迷する中、“自縄自縛”に陥った菅直人政権は大胆な予算改革もできないでいる。
民主党は昨年の衆院選マニフェストで「国民生活重視」の立場から子育て支援や雇用対策などを中心に10年度で7.1兆円、11年度で12.6兆円の新規施策実現を公約。その財源の大半を予算の無駄削減で捻出するとしてきた。
しかし、10年度予算の新規施策は「子ども手当」の半額支給(月1万3000円)など3.1兆円と予定の半分以下。11年度もマニフェスト関連の予算計上額は3.6兆円とわずかな上積みにとどまる。例えば11年度に予定していた子ども手当の満額支給(月2万6000円)は数兆円の財源の手当てが付かず早々に断念。代わって3歳未満のみを対象に7000円上積みして月2万円にする中途半端な対応を余儀なくされた。しかも、この上積み措置も従来の児童手当の廃止などに伴って負担増となる世帯を「救済」するのが目的で、少子化対策で「子育て家庭を支援する」との公約とはほど遠い内容だ。
マニフェストの大きな目玉とされた「高速料金の無料化」公約はもっと悲惨だ。公約した「無料化の段階的実施」に向けて今年6月から社会実験を始めた高速道路無料化の検討のための予算は、11年度は前年度比200億円増の1200億円。ただ、増額は実験期間が通年になることに伴う措置で、実質的には予算計上額は前年度並みにとどまる。
「高速無料化」の公約は実質的に有名無実化しているのが実情で、政府・民主党は「休日上限1000円」などの現行の値下げ策を4月以降も継続する方針だ。
公約への熱意が冷めたのは、9.1兆円もの財源を捻出すると宣言した「無駄削減」が空振りに終わったためだ。事業仕分けなどを通じた歳出削減は概算要求段階の削減を除くと10年度で1兆円、11年度は3000億円に過ぎない。11年度段階で公約実現に必要な12.6兆円を大きく下回り、財源面から言えば、「マニフェスト実施のもくろみは完全に崩壊している」(霞が関の経済官庁幹部)のが現実だ。
それでも菅首相は国会答弁などで「マニフェストを最大限実現するよう努力する」と繰り返している。小沢元代表ら民主党内の公約実現を求める声に配慮したためと見られるが、有名無実化したマニフェストを変えられない姿が指導力の欠如に映り、政権支持率の低下に拍車をかけている面もある。首相は来年度予算案や税制改正で法人税率引き下げなど経済成長重視の独自施策も探るが、マニフェストの「呪縛」から逃れられない限り、大胆な施策や方針は打ち出せない状況だ。
政権を取る前は予算の組み替えと無駄を省けば16兆8千億円は賄える、埋蔵金も相当にあるからマニフェストの実現は簡単だ。民主党はそう豪語していた。そんなに簡単に金が出てくるなら今の政権政党よりはずっと頭のよかった自民党と官僚もそのくらいのことは気がついてとっくに活用しているだろうにと思っていたが、やはりその通りだった。
優秀な民主党の皆様がそんなことも分かっていなかったのなら、ずい分とお気楽なことだし、もしも知っていて、そんなことをのたまっていたのなら、大ウソつきの詐欺師ペテン師だろう。予算などというのは無駄かそうでないかは相対的なものだろうし、世の中に金が回ることは変わらないのだから、札を燃やして焼き芋でも作っていない限り、民主党様が言うように全く無駄ということもないだろう。
そういう民主党様の政策にもずい分と無駄に思えることや、国家予算で票買いをなさっていらっしゃるんじゃないかと思えるような政策がずい分あるんじゃないか。景気よく廃止などと事業を仕切っていらっしゃるが、そうして切り詰めた金で人気取りをしているのではないか。
大体、莫大な借金を抱えて四苦八苦しているのに、民主党様政権になってから、2年とも戦後最大規模の予算を更新している。最近は国家予算も85兆円以下だったと思うが、いきなり92兆円を超える数字を見せられて、「大丈夫かいな」と心配になってしまう。小泉内閣の時は81兆円程度じゃなかっただろうか。まさか民主党様は自らの権力欲を満たすために国家を食い潰そうとしているんじゃないだろうな。
その上また幸せ度調査だか、悲しいかな、凡人には何だかわけの分からない高度に政治的な調査をなさるそうだが、本当に幸せな国というのは、「我等は平和を愛し、世界に貢献し、国際社会を主導する日本国の国民だ」と胸を張れるような国を作ることではないだろうか。
金がないことはやはり困るが、幸いに我が国はまだまだ世界に冠たる豊かな国ではないか。どうも金ばかりにこだわるところがあるこの国だが、もう少し大人になって金以外にも豊かになれるものがあるかどうかを探してみても良いのではないだろうか。高度に政治的な判断能力を有しておられる政権政党に間違いはないだろうが、どうも気になる予算ではある。
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