金星の周回軌道投入に失敗した日本初の金星探査機「あかつき」について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8日、逆噴射開始から2分23秒後に機体が急回転するなど姿勢が大きく乱れ、非常事態に取る「退避姿勢」に入っていたことが分かったと発表した。逆噴射に使った新開発エンジン「セラミックスラスター」が破損した可能性もあり、引き続き、原因究明を続ける。
 
あかつきは7日朝、計画通りにエンジンを逆噴射し、軌道投入のための進路変更を始めたが、直後に約1時間半にわたって通信が途絶。その間に機体が退避姿勢に切り替わり、逆噴射を中断したことが分かった。あかつきは必要な減速ができず、金星付近を通過した。

 あかつきから送られた姿勢情報を解析した結果、あかつきは逆噴射開始の2分23秒後、5秒に1回転という高速でコマのように回転し始めたことが判明した。これで機体は退避姿勢に入ったと推定される。

 セラミックスラスターは特殊合金を使う従来品より燃焼効率が良く、出力が大きい。今回初めて搭載され、金星に向かっていた6月末の噴射試験では問題がなかった。

 中村正人教授は「地上で破損試験も行い、丈夫だと確認したが、セラミックなので何か当たれば壊れる可能性はある。エンジンはすごい勢いで噴いており、(破損により)横に噴けばそういう回転も起きる」と話した。

 スラスターが破損していた場合、6年後の再投入に挑戦することは難しくなるが、中村教授は「今はまだ起きたことが分かっていない。再投入の気持ちは変わっていない」と述べた。
 
順調に実績を積み重ねてきたのでこの失敗は痛恨の極みだが、先端技術開発には失敗はつきものだ。たゆみない研究の積み重ねの先にしか成功はないのだからここはぜひ頑張って凌いで欲しいところだ。まだ、6年後にかすかな希望はあるようだが、次を検討することも必要だろう。何億キロも離れたところにある衛星を制御することはたやすいことではない。例の短絡的で身の回り数メートルしか見えない菅政権が予算を削るなどと言い出すことのないように。日本の明日のために次の成功を祈っている。
 
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