政府が年末に改定する「防衛計画の大綱」で、焦点となる陸上自衛隊の定員を現状の15万5千人に維持し、東シナ海での中国軍の活動が活発化していることを踏まえ、沖縄本島に置く第15旅団(約2100人)を千数百人増強する案を検討していることが21日、分かった。財務省は14万8千人以下への大幅減を求めているが、政府・民主党内では減員は周辺国に誤ったメッセージを送ることになるとの見方が大勢のためだ。

陸上自衛隊は16万8千人への大幅増を要求している。最大の理由は、中国の脅威に対処するための「南西防衛戦略」の強化だ。沖縄本島に千人増強するほか、中国の艦船や航空機をレーダーなどで探知するため、与那国島(沖縄県)に「沿岸監視隊」を約100人配備する。

陸自では現在、定数に対する充足率が約91%にとどまり、「実員」は14万1千人。財務省は大綱改定にあたり、これを基本水準と位置づけ、即応予備自衛官7千人を加えた「定員」を14万8千人以下に抑えるよう求めている。国家公務員を削減する「総人件費改革」を今後も徹底し、定員をさらに削減することも視野に入れているという。

陸自定員は平成16年に現大綱が策定された際も、政府内調整が最後までもつれたテーマだ。今回の改定では今月に入り陸自と財務省の調整が本格化し、「バトルの様相」(政府高官)を呈している。財務省の主張に陸自側は強く反発している。前大綱が策定された7年以降、10年以上にわたり削減が続いた上、総人件費改革の一環として約4千人減らされた末の14万1千人をベースとすることは容認できないためだ。

中国に加え、核・ミサイル開発を進める北朝鮮も不安定要因で、日本周辺の戦略環境は厳しさを増している。大綱はおおむね10年後に必要な防衛力を打ち出すものであり、「陸上戦力を見積もれば、14万8千人など論外だ」(陸自幹部)と抵抗感は強い。国際平和協力活動に支障を来すことへの懸念もある。ただ、民主党内には「陸海空の硬直化した予算配分を見直し、政権交代の成果として海空戦力の増強にシフトすべきだ」(中堅)との指摘もある。最終的には菅直人首相の決断に委ねられるが、厳しい財政事情をにらみつつも、「現状維持が妥当な落としどころになる」(幹部)とされる。
 
北辺重視から西転へとシフトを変えようとしていたが、ロシアが息を吹き返してきて北方も手を抜けなくなってきたので人員を増やさざるを得ないということだろうか。沖縄に4千人程度の旅団を置くというのは妥当な線だろう。北海道から1個旅団を抜くという手もあるんだろうが、広大な地域に1個師団、1個旅団と機動1個師団ではやや不足ということか、それとも旧陸軍以来、伝統的にロシアが敵ということだろうか。
 
確かに北海道と九州以外はかなり手薄な感じがする。特に関東は1個師団、1個旅団で、空挺団と教導団があるとは言っても、首都防衛には十分とは言えない。中部、近畿も同様で、この辺にももう1個師団あるいは旅団が欲しいところだろう。
そうすると関東と関西にそれぞれ1個旅団、沖縄に1千人程度の増勢でざっと見積もっても1万人の増員だから16万8千人を定員としたいという陸自の主張も分からないでもない。しかし、未だに充足率が90%程度とは、やはり危険の多い仕事と敬遠するんだろうか。
 
ヨーロッパでは移民の子孫は軍隊や警察などの武装機関に積極的に職を求め、結果として軍隊や警察が移民で占められ、それが政治家にとって大きな脅威となっているという。日本はまだそんな状態は出現してはいないが、これから先はどうなるか分からない。
 
まあ、今の民主政権は政権の維持に子ども手当や高速道路無料化、高校の授業料無償化などばら撒き政策に熱心だから防衛費を増額する等及びもつかないだろう。ろくな知恵もないので何でも波風立ちそうもない現状維持にしてしまうのだからこれも始末が悪い。医療費、年金などの社会保障費支出が94兆円、防衛費は5兆円にも至らないなど、これも大いに問題があるが、せめて1兆円程度増額して海空戦力の充実に努めべきだろう。
 
陸上は人員の増員も必要かもしれないが、まず、火力と機動力の強化が必要だろう。強力な火力を擁して迅速に移動ができる部隊を増やせば必要な地域に戦力を集中できて人員不足をある程度補えるのではないだろうか。それにしても、ほとんど火がつく寸前の尖閣を含めて南西諸島には陸上だけでなく海空戦力の増加も不可欠だろう。
 
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