クローリー米国務次官補(広報担当)は2日の記者会見で、ロシアのメドベージェフ大統領が日本の北方領土を訪問したことに関連し、米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条について、「(北方領土は)現在日本の施政下になく、条約は適用されない」と述べた。同時に、「米政府は日本を支持し、北方領土に対する日本の主権を認めている」と重ねて強調した。クローリー氏の発言は、同5条が適用されるのは沖縄・尖閣諸島のようにあくまで日本の施政下にある領域であり、北方領土はこれに該当しないことを改めて確認したものだ。

2日付の露有力各紙では政府のこうした対日強硬姿勢を反映し、北方領土訪問は「内政問題」との論評が目立った。イズベスチヤ紙は「議論の余地なき領土」という見出しの記事で、「訪問の目的は、(ロシア政府が現地で実施している)社会経済発展計画の進捗(しんちょく)状況を調査することだったが、突然、外交問題に発展した」と表現した。同紙は横浜市でのAPEC首脳会議について、「日本は開催場所を提供しただけで、政治的批判の場として使うことはまったく正しくない」との大統領府当局者のコメントも掲載、日本側を牽制(けんせい)した。
 
領土問題はなかなか難しい。特に一方がその場所を実効支配しているとそれを返せと言っても通じるはずもない。北方領土は、「ロシア大統領の訪問は極めて遺憾で激しく抗議する」程度に日本の立場を表明する程度でそれ以上ことを荒立てない方が良い。実力で奪還できない以上話し合っても戻っては来ない。ここで2正面対応を迫られるよりも、実効支配している場所で毅然とした態度を見せた方が得策だろう。その姿勢が日本の領土に対する意思と姿勢を国際社会に示せるのだろうから。今ならば中国よりはまだロシアの方がまともかも知れない。そのロシアにあまり無理をすべきではない。
 
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