沖縄・尖閣諸島沖の日本領海内で起きた中国漁船衝突事件で、中国は「謝罪と賠償」を要求し、船長の釈放により、日中関係悪化が収拾に向かうと期待した菅政権は目算が狂った格好だ。中国の強硬姿勢はやむ気配がなく、日中対立は長引く恐れが出ている。
◆甘かった見通し◆
「日本側の方が(中国より)少し大人の対応をした。抜き差しならない関係になるのはいいことではない」片山総務相は25日、東京都内で記者団に対し、公務執行妨害容疑で逮捕した船長釈放を評価した。だが、謝罪と賠償を求めるという中国側の予想外の要求に、政府の受けた衝撃は大きかった。政府筋は25日、「尖閣諸島は日本の領土だ。日本の法律にのっとったことなのに、謝罪要求とはどういうことなのか」とうめいた。というのも、中国人船長の釈放を決めた24日、首相官邸内には、日中の関係改善に直ちにつながるという楽観論が広がったからだ。中国側の強硬姿勢は、「菅外交」の見通しの甘さを露呈する形となった。
◆やりたい放題?◆
政府内では「中国は船長釈放を勝ち取り、矛を収めるどころかさらに、揺さぶりを強めてくるのではないか」と先行きを危ぶむ声が出ている。まず、今回の漁船同様、尖閣周辺の日本領海における中国漁船の侵犯行為がエスカレートする事態が予想される。海上保安庁などからは「中国漁船が違法操業していても、有効な取り締まりができなくなる」と心配する声が出ている。中国側が東シナ海のガス田開発問題で単独掘削の構えを見せるなど、船長逮捕の「報復措置」とみられる動きも解決のメドが立っていない。
ガス田の一つ「白樺」では最近、中国側施設で掘削用ドリルのような機材の搬入が確認され、新たに白樺付近の海水に濁りがあることも判明した。24日に開かれた自民党外交部会で、資源エネルギー庁幹部は「掘削の可能性は高いとの判断は変わっていない」と説明。外務省も「中国側が掘削をした可能性がある」とみて、外交ルートを通じて中国側に事実確認を繰り返している。
中国・河北省で「フジタ」の日本人社員4人が中国当局に拘束された問題でも、北京の日本大使館が25日、ようやく領事面会を実現させたものの、解放には至っていない。政府・民主党内では、「船長というカードを手放したことで、中国にやりたい放題やられる恐れがある」(民主党関係者)との警戒感も出ている。
「日中は国際社会に責任を持つ重要な隣国で、戦略的互恵関係を深めるため、双方が冷静に努力することが必要だ」 菅首相は24日(日本時間25日)、ニューヨークでの内外記者会見でこう強調した。しかし、メッセージは中国に届いていないようだ。
◆甘かった見通し◆
「日本側の方が(中国より)少し大人の対応をした。抜き差しならない関係になるのはいいことではない」片山総務相は25日、東京都内で記者団に対し、公務執行妨害容疑で逮捕した船長釈放を評価した。だが、謝罪と賠償を求めるという中国側の予想外の要求に、政府の受けた衝撃は大きかった。政府筋は25日、「尖閣諸島は日本の領土だ。日本の法律にのっとったことなのに、謝罪要求とはどういうことなのか」とうめいた。というのも、中国人船長の釈放を決めた24日、首相官邸内には、日中の関係改善に直ちにつながるという楽観論が広がったからだ。中国側の強硬姿勢は、「菅外交」の見通しの甘さを露呈する形となった。
◆やりたい放題?◆
政府内では「中国は船長釈放を勝ち取り、矛を収めるどころかさらに、揺さぶりを強めてくるのではないか」と先行きを危ぶむ声が出ている。まず、今回の漁船同様、尖閣周辺の日本領海における中国漁船の侵犯行為がエスカレートする事態が予想される。海上保安庁などからは「中国漁船が違法操業していても、有効な取り締まりができなくなる」と心配する声が出ている。中国側が東シナ海のガス田開発問題で単独掘削の構えを見せるなど、船長逮捕の「報復措置」とみられる動きも解決のメドが立っていない。
ガス田の一つ「白樺」では最近、中国側施設で掘削用ドリルのような機材の搬入が確認され、新たに白樺付近の海水に濁りがあることも判明した。24日に開かれた自民党外交部会で、資源エネルギー庁幹部は「掘削の可能性は高いとの判断は変わっていない」と説明。外務省も「中国側が掘削をした可能性がある」とみて、外交ルートを通じて中国側に事実確認を繰り返している。
中国・河北省で「フジタ」の日本人社員4人が中国当局に拘束された問題でも、北京の日本大使館が25日、ようやく領事面会を実現させたものの、解放には至っていない。政府・民主党内では、「船長というカードを手放したことで、中国にやりたい放題やられる恐れがある」(民主党関係者)との警戒感も出ている。
「日中は国際社会に責任を持つ重要な隣国で、戦略的互恵関係を深めるため、双方が冷静に努力することが必要だ」 菅首相は24日(日本時間25日)、ニューヨークでの内外記者会見でこう強調した。しかし、メッセージは中国に届いていないようだ。
「仲良くして欲しければ足元にひれ伏して出すものを出せ」というのが、朝貢外交を要求する中国の主張だろう。政府筋は、「日本の領土で日本の国内法に従ってやったことなのにどうして謝罪と補償なのか」と首を傾げるというが、向こうは日本の領土とは言っていない。だからこそ、こんなことになっている。そもそもの原点はそこにあるのだから、「釈放したのにどうして」なんて首を傾げていること自体がほとんど小学生の諍いの世界だ。
中国政府にしてみれば、「漁船の船長がどうなろうとそんなことは知ったことではない、その機会を利用して主張すべきことを主張して、相手に隙があれば付け込んで何でもいいから自分に有利な状況を作り東シナ海の権益を拡大しよう」というのが本音だろう。謝罪と賠償も、声高な恫喝に恐れ入って下がった日本にさらに揺さぶりをかけて外交小学生の現政権がもっと恐れ入るか、失策をするか、そんな機会があればもっと突っ込んでやろうというのだろう。
基本的に国家間の紛争で一人勝ちはない。状況を読みながら損得勘定をして、その中で得られる利益を最大限ものにしようと手練手管を使って相手と戦うことだ。日本は船長を勾留したのはいいが、その後は法に則って粛々を繰り返すだけで正当性の証明もなければ国際社会へのアピールもしなかった。米国から、尖閣は安保の対象との言質を取ったものの、こんなことに巻き込まれたくない米国にいい加減にしろとたしなめられたのか、先の読みもなく地検に責任を負わせて船長を釈放してしまった。
これで収束に向かうと安堵の胸をなでおろした日本政府は、中国に謝罪と賠償を要求されて驚き慌てて、深夜に外務省報道官から、「理由がないので拒否する」との声明を発表するのが精一杯だった。当然のこと、中国はさらに謝罪と賠償を要求するだろう。相手が下がるのだから前に出るのは当たり前のことで前に出たとしても中国に問題は見当たらない。この際、取れるものは取れるだけ取ってやれというのが中国でそれは当然であり、政治外交の素人でも分かる。
今後、中国は尖閣海域でさらに強気の行動に出るだろう。場合によっては、武力衝突、それは直接軍事力というよりも警察力、海保対漁業監視隊というレベルの衝突が発生するかもしれない。その時はどうするのか。日本は「話せば分かる」というのが大好きな言葉だが、この世の中には、我々とは違った価値観や考え方、行動様式、社会制度、文化風習を持った人たちがたくさんいる。話して分かる場合もあるだろうが、分からないこともあれば、分かっていても利益のために無視することもある。
急成長に伴うひずみ、人民元切り上げ要求、民族問題、13億の国民を養う中国にも悩みや苦しみは多いだろう。だからこそ利益があると見れば強硬に踏み込んでくるのだろう。苦しい事情はお互いに同じ、引くのなら最初から逮捕だけをしておいてすぐに釈放して付け入る隙を与えないことだろう。もしも厳正に対処するのなら苦しさに耐えて日本に何らかの利益を見い出せるまで頑張り続けるべきだろう。
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