アジア諸国は、・・・
 
日本の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を発端に日中関係が緊迫していることについて、東南アジア各国では、今回の出来事は、南シナ海でも権益拡大をはかる中国の「野心」の表れとみて、日本政府の対応を、強い関心をもって見守っている。とくに、スプラトリー諸島などの領有をめぐり、長年、中国と対峙(たいじ)しているだけに、話し合い解決を基本としつつ、日本に対しては「冷静かつ確固たる姿勢」を求めている。

ASEAN各国は南シナ海で、しばしば中国と衝突してきた。1988年にはスプラトリー諸島のジョンソン環礁で中国、ベトナム両国海軍が衝突し、ベトナム軍艦艇が沈没、水兵70人以上が死亡した。99年には2度にわたってフィリピン軍艦艇と中国漁船が衝突し、漁船が沈没した。最近でも今年3月にはやはり領有権を争うパラセル諸島で、ベトナム漁船が中国艦艇に拿捕された。6月にはインドネシアのナトゥナ諸島沖で、インドネシア海軍が拿捕した中国漁船を、武装した中国艦艇に奪還される事件が起きるなど、もはや南シナ海は全体が中国の勢力圏だ。

中国漁船衝突事件はこうした中で起きただけに、事件の背景に中国の「領土的野心の拡大」をみる専門家は多い。フィリピン・デラサール大学国際学部のレナート・C・デ・カストロ教授は、「中国がこの地域で急速に勢力を増して、影響力を及ぼすことに自信をもっているというサインだ」と分析。さらに「中国は地域で一番の勢力である中国に挑戦するのは不可能だと、日本に印象づけるつもりだ」と言明する。

ASEAN各国は、中国がすでに経済的にも軍事的にも大きな力をもつことから、領有権をめぐる問題は個別交渉を避け、ASEAN一体で中国に相対する姿勢だ。先のASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議に続き、24日にニューヨークで行われるオバマ米大統領とASEAN首脳との会談でも、南シナ海をめぐる問題を取り上げる方針で、日本に対しても協調を求めるものとみられる。しかし、今回の事件で中国がさらに挑発的行動へと向かうかもしれないとの懸念もあり、インドネシアのナタレガワ外相も、日中が問題を友好的に解決することを期待する。今回の事態でわれわれの地域の混乱や不安定化はみたくないと語り、日中の対立が長引くことで、南シナ海での問題に影響が及ぶことに警戒感をにじませた。
 
中国は、・・・・
 
11月予定のチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世の来日に対して、中国政府が日本側の招聘(しょうへい)自体を取りやめるよう要求していることが22日、分かった。中国政府は従来、ダライ・ラマ来日では日本側に圧力をかけてきたが、会合への出席を止めようとするのは異例。沖縄・尖閣諸島周辺での漁船衝突事件を受け、中国側が強硬姿勢を取っている可能性がある。政府関係者は、尖閣での事件にチベット人権問題が加わることで、中国国内が混乱することを中国指導部がおそれているのではないか」と分析している。

米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は22日、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件に絡んで、中国政府がこのほど、日本向けのレアアース(希土類)の輸出を全面禁止したと報じた。訪米中の温家宝首相は21日、「日本が船長を釈放しない場合、さらなる行動を取る」と表明しており、日本に強い圧力を掛けることが狙いとみられる。
 
東南アジア諸国はかなりの関心を持って尖閣諸島問題を見守っているようだ。アジア自由主義陣営最有力国家日本とアジアで最大の軍事大国中国の衝突だけに関心を持たざるを得ないだろう。中国は次から次へと強硬手段をとって日本を圧迫しているが、他国の場合のように武力行使を控えているのは、日本がそれなりに有力な軍事力を保有していることと後ろに米国が控えていることだろうか。
 
経済的な制裁は日本にも痛いだろうが、中国も安閑としてはいられないはずで、その上、中国は多民族国家という大国ゆえの悩みを抱えている。ここで引き下がった方が東シナ海での主導権を失うとともに、今後の両国間の関係についても主導権という点で大きな影響を及ぼすことだろう。日本は勾留満期を待って罰金として退去強制で帰国させるつもりだったろうが、船長は中国領海内として事実を否認しているようなので略式罰金とはいかなくなるかもしれない。そうなると正式起訴して裁判になるだろうからさらに勾留期間が伸びることになる。そうなると中国もさらに打つ手を進めるだろう。
 
どこまでエスカレートするか先が見えなくなってきた尖閣諸島問題だが、今回のことで軍事力というのは軽視すべきでない重要な外交手段だということが、平和ボケの日本人にもよく理解できただろう。まがいなりにも世界でも有数の海軍力を保持してたおかげでこれまで中国の武力行使を抑制することができた。もしも、日本がもっと強力な軍事力を備えていたら中国はここまで強気にはなれなかっただろう。日本に中型空母の2隻程度と攻撃型原潜1個戦隊4~6隻もあれば、中国はこれ程は強気にはなれなかったかもしれない。軍事力で物事を解決するのは良いことではないが、そうしなければ分からない相手も存在することを平和ボケの日本人であっても決して忘れてはいけない。
 
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