中国国営新華社通信は22日、国連総会に出席するため米ニューヨークを訪問中の中国の温家宝首相が21日、在米中国人や華僑代表と会見した際、尖閣諸島付近で起こった中国漁船衝突事件に言及し、「不法拘束中の中国人船長を即時、無条件で釈放することを日本側に求める」と発言したことを伝えた。事件以後、中国の外相、外務次官、外交担当の国務委員(閣僚級)などが相次いで日本を非難しているが、国家首脳がこの問題に触れたのは初めて。温首相は「日本側が釈放しなければ、中国はさらなる対抗措置を取る用意がある。その結果についてすべての責任は日本側が負わなければならない」と指摘。「日本側が早急に過ちを正し、中日関係を正しい道筋に戻すことは、両国人民の根本利益に合致するだけでなく、平和、協力という世界の潮流とも一致する」と述べた。一方、22日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストなどによると、香港の反日団体「保釣行動委員会」は22日午後、所有する漁船で香港を出港した。尖閣諸島へ向かうとみられる。同委員会はこれまでにもたびたび尖閣諸島を目指しており、上陸したこともある。
沖縄・尖閣諸島沖での衝突事件を受けて日本と中国の間で緊張が高まっていることについて、仙谷官房長官は22日、「大局的な政治的な判断をしつつ、国内法的な処理を進めていくことになると、あらためて思っている」と述べた。その上で、「早急にハイレベルの話し合いが行われた方がよい」と述べ、日中の首脳を含めた高官級の会談を模索する考えを示した。
中国外務省の姜瑜副報道局長は22日夜、仙谷由人官房長官が同日の記者会見で日中ハイレベル協議の開催を求めたことについて、中国人船長の無条件釈放によってしか、両国関係の悪化を回避できないとする談話を発表した。
日本の政府は甘いなあ。話し合いで決着がつけばここまで事態は悪化しない。主権国家が自国の領土内で主権を行使することの正当性さえきちんと訴えておけばそれでいい。日本経済の中国依存は日本の弱点だろうが、中国にしても複雑な国内事情を抱えた上に人件費の高騰などで世界の工場として君臨し続けることには黄色信号が灯り始めている。領土、人口ともに巨大な中国だが、それは逆を返せばその巨大国家を養わなければいけないという弱点にもなる。
急成長の様々なひずみが生じてきた中国にもお家の事情があるだろう。シンガポールの通信社がアジアの経済大国同士が争うのは地域にとって利益とはならないので冷静に対応して現状維持を望みたいと言っていたが、その辺が落としどころなのだろう。強気にならざるを得ない中国政府と強気になれない日本政府、後に引けない中国と最初から崖っぷちの日本、尖閣問題はどこに落ち着くのだろう。
万が一、尖閣海域で限定的かつ短期間の軍事衝突が起こっても今なら何とかわが自衛隊は勝利を収めることができるだろう。しかし、戦っても後に残るのは悲惨な結果と容易に消えない憎しみだけなのでそういうことのないように祈りたい。今回の騒動では、局外に立って影響力だけを行使することができる立場の米国が漁夫の利を得るのかもしれない。
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