東シナ海の日本固有の領土、沖縄・尖閣諸島近海で起きた中国漁船衝突事件について、米政府は事件は偶発的なものではなく、中国政府黙認の下で起きた「組織的な事件」との見方を強め、中国の動向を警戒している。尖閣諸島は日本の施政下にあり、日米安全保障条約の適用対象との明確な見解をとり、「有事」の際は米軍が対処することを示唆して、強気の姿勢を崩さない中国を牽制している。

米政府の認識と立場は、クローリー国務次官補(広報担当)によって端的に表明された。同氏は8月16日の記者会見で、(1)尖閣諸島は日本の施政下にある(2)日米安保条約5条は、日本の施政下にある領域に適用される-との見解を表明。そのうえで「条約が尖閣諸島に適用されるかと問われれば、そうだ」と明言した。今月14日の記者会見でも、衝突事件に関し「対話による平和的解決を求める」と述べると同時に、「日米同盟はアジアの平和と安定にとって要石だ」と強調した。

米政府は、中国政府部内で尖閣諸島の実効支配が機関決定された可能性があり、「漁船を隠れみのに軍と一体となって、この方針を行動に移している」(日米関係筋)との見方を強めている。衝突事件が「組織的な事件」との認識は、こうした見方に基づいている。同筋は、衝突事件で中国が強気の姿勢をとっている理由について、「中国国内の(日本を批判する)世論への対策ということを超えた行動であり、尖閣諸島の領有化という明確な政府の意思を示したものだ」と警鐘を鳴らす。

また、「民主党代表選という日本の政治空白と、沖縄県の米軍普天間飛行場移設をめぐり日米関係全般が停滞する中、中国は日米の出方を試した」とみる。中国が「核心的利益」と呼び、自国の内海化を進める南シナ海に目を転じると、インドネシア近海で6月、中国の漁業監視船がインドネシア海軍の艦船に「拿捕(だほ)した中国漁船を解放しなければ砲撃する」と警告し、交戦の一歩手前までいき緊張が高まった。

この事件は、中国が南シナ海や東シナ海で、海軍の退役艦艇を改造した漁業監視船を派遣しつつ、漁船を“先兵”として使っていることを裏付けている。米軍は昨年3月、米調査船が中国海軍に妨害を受け、護衛のため南シナ海にイージス艦を派遣した。今回の衝突事件における今後の中国側の動向次第では、米政府が「艦船派遣という目に見える形で対中圧力をかける」という可能性も指摘されている。
 
こうなると尖閣諸島が武力侵攻されたら奪還できるかなんてことが絵空事ではないように思えてくる。そんな緊迫した事態にちんたら代表選などをやって、脱小沢の何のと騒いでいる場合ではないように思う。確かに今回の事件は出来過ぎているようにも思える。百何十隻という漁船が集中して、領海侵犯を繰り返し、揚句に巡視船に体当たりするなど普通の漁船がやることではないのかもしれない。
 
海保はかなり毅然とした態度で対応していたようだが、これはいいことだと思う。自衛隊の哨戒機も常時2機が哨戒して領土保全の意思を示している。現場の対応には抜かりがないように思う。しかし、もしも武力侵攻を受けた時に政治が毅然とした態度で速やかな対応ができるだろうか。これが一番の問題だろう。
 
しかし、米国がかなり日本寄りの姿勢を示しているのはちょっと意外だった。尖閣への武力侵攻に対して武力行使もあり得るというのは中国にはちょっと驚きだろう。米国にしても自国の利益最優先だから日本のためだけでこんなことは明言しないだろう。尖閣諸島を中国に抑えられて、あそこに海空にわたる様々な監視施設を造られるのも嫌だろうし、どこかで中国の進出を抑えたいという思惑もあるのだろう。また、知らん顔をして日本という防波堤を失うと中国海軍の西太平洋への進出を抑えるのが難しくなるという思いもあるのだろう。
 
しかし、何と言っても日本自身が自国の領土保全に向けた断固たる姿勢を示すことが最も大事なことだろう。それには実効支配という証を国際社会に向かって明確に示すべきだろうが、今の小学生政府にそれができるのかどうか、怪しいものだ。政治主導もいいが、痛くもかゆくもないところで国民の代表者だと権力を振り回してもそんなものは空威張りに過ぎない。身を切らせなければいけないところでどれだけの勇気を示すことができるか、日本の政治の真価が問われる時が案外近くまで来ているのかもしれない。
 
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