防衛省は、平成23年度予算案の概算要求をまとめたようだが、それによると平成22年度予算比9・3%減の4兆3446億円、中国の脅威を念頭に東シナ海の離島侵攻への備えを重視して、戦力の展開能力向上のため、航空自衛隊の新型輸送機C2について2機調達分で384億円を計上するなど、対中シフトを鮮明にしたようだ。これに加え、「特別枠」として在日米軍駐留経費の日本側負担を含む計4755億円を計上、全体では同0・6%増の4兆8201億円となった。在日米軍再編関連経費は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾移設問題で日米協議が継続中のため、22年度と同額の909億円を「仮置き」とした。

離島侵攻対処では、防衛上の「空白」となっている先島諸島への陸上自衛隊の部隊配備に向け、3千万円の調査費を初めて要求、中国海軍の活動が活発化していることを受け、情報・監視・偵察(ISR)任務の強化策で海上自衛隊の護衛艦とP3C哨戒機などの退役時期を延ばし、潜水艦の延命措置に関する調査費も盛り込んだ。


弾道ミサイル対処能力向上として、那覇基地の空自高射部隊の一部を地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊に改編するため211億円も計上した。次期主力戦闘機(FX)の機種選定に関する調査費は7億8千万円を要求。米英などが共同開発中のF35ライトニング2の技術情報開示を求める費用に6億8千万円を充てる。
 
南西諸島、先島諸島への備えは当然必要だろうから、陸上自衛隊配備への道筋をつけることは評価できるが、全般にはことさら対中シフトと大騒ぎするほどのことでもないように思う。防衛力は脅威のある場所に振り向けるのが原則だろうから、南西諸島、特に戦力の空白地帯の先島諸島には早急な配備が必要だろう。あまりおかしな気を使わないで堂々と配備すべきだろう。
 
それから離島地域への戦力の緊急展開手段と制空権の確保についても検討して必要な手段を講じるべきだろう。それは戦うための戦力配備ではなく、戦いを未然に抑止するために存在すべきであることは論を待たないが。それにしても年金や社会保障費の膨大なこと、それに比べれば防衛費など微々たるものだ。
 
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