陸上自衛隊は、来年以降の配備を予定している「10式戦車(ひとまる式)」を、静岡県の陸自富士学校で公開したようだ。この戦車は、現有主力の90式戦車よりも小型軽量化して北海道以外の地域でも運用に支障のないように配意されていると言う。新型戦車は、正式に装備に認定された2010年にちなんで10式と命名され、「ヒトマル式」と呼ばれるようだ。61式戦車以来、戦後4世代目の戦車で、小型軽量化、防御力の強化、主砲の高威力化、そしてC4Ⅰなど高度なIT技術の導入で、市街戦やゲリラ、特殊部隊による攻撃にも対処可能だと言う。
 
主砲の威力も防御力も20年前に制式化された90式を凌ぐようで、能力的には相当高いものを持っているようだ。もっとも、20年の時間の差があるので、優れているのは当然かも知れない。90式にしても装甲財の装換、電子機器の更新、主砲の改良などを行えば、当然似たような性能になるだろう。
 
アクティブサスなどの新装備を加えても、今ここで新型戦車を開発すべきなのか、やはり疑問が残るところだろう。しかし、戦車も戦闘ヘリやミサイルなどいろいろと天敵が出現しているから、陸戦の主戦兵器とはいかなくなった部分もあるが、やはり相当な威力をもった兵器には違いなく、戦車は必要ないというのは暴論だろう。
 
戦後日本の戦車は、いずれも地形に隠れて敵の戦車を射撃する駆逐戦車的な用法が一般的だった。50トンを超えた90式でさえ、正面の装甲が厚い分、側面や後面は思い切り薄く、これも前に出て行って敵を制圧するというよりは、地形に隠れて侵攻して来る敵を遠射する移動砲台と言われていた。
 
10式戦車も用途としては似たようなものなのだろう。ただ、最近はゲリコマ対処が用途に入って来たので、その辺りの対応も抜かりのないものとなっているのだろう。この戦車の値段は約9・5億円というが、初年度はいろいろと新規の費用が嵩むので量産効果が出てくれば7億程度まで値段は下がるのだろう。しかし、この戦車も財政難の折、一体どの程度数を揃えられるのか、それが一番の問題だろう。
 
冷戦が終了して、日本本土への着上陸侵攻の可能性が低下したので、防衛計画の大綱別表は、戦車を約900両から約600両に削減としたが、有事の備えるための軍備なのだから、早期に必要な数をそろえないと意味がない。年間15両で20年、合計300両程度だろうか。90式もこれで代替するとなると500両程度は必要になるだろう。残りの100両は、装甲砲車となるのだろうか。
 
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