鳩山内閣に取って代わって菅内閣が誕生した。支持率も回復して民主党はホッと一息だろう。実際、鳩山内閣よりは実務派を集めたと言う印象はある。しかし、この時期に日本の舵を取るのは誰がやっても難しいだろう。まず、財政逼迫の折、ほとんど選挙対策の人気取りのようなこども手当や高速道路無料化をどう処理していくのか。こども手当は見直しという方向だが、それでも毎年3兆円に近い財源は相当に苦しいだろう。子供を育てると言うのはただ金をやればいいというものでもなく、親の方にも子供を育てるにはそれなりに覚悟が必要だろう。金を撒いても他力本願な国民がなお更他力本願になるだけだろう。
高速道路はせっかく民営化したのだから、何も今更御上が口を出すこともない。料金は企業の経営努力に期待すればそれで良い。輸送機関は車両の他にも航空機、鉄道がある。ただし、自家用車はともかくトラックの料金はそれなりに割り引いても良いのかも知れない。
普天間問題も振り出しに戻ってしまっただけで何ら進展はしていない。これも自民党時代に考え尽くして三者三様に苦渋の決断で何とか落ち着いたものの、それをあっさりと崩してしまったことに対する沖縄の怒りなのだろう。安全保障が一国の問題ですまない以上、同盟国の米国に日本から下がれと言うのなら、自分が前面に出るというくらいの覚悟がないと困るのだが、口先だけで平和、平和と言ってみても何の解決にもならない。インド、マレーシア、シンガポール、タイ、オーストラリア、韓国、台湾辺りと集団安全保障条約でも締結できれば、お隣の大国も少しは考えるだろうか。しかし、経済を併せるとそれもなかなか難しいだろう。
経済の活性化と財政の健全化はこれも難問だろう。一時期のような見事な右上がりはもう期待は出来ない。緩やかな成熟した経済大国としてどのように国を富ませていくか、この辺りは誰がやっても難しいだろう。経済は市場原理主義で構わないだろう。個々の企業がそれぞれ努力すれば良い。しかし、法人税の軽減や規制の緩和など支援政策は積極的に行うべきだろう。また、市場原理主義ではどうしても商社とは医者が生まれるのは止むを得ない。御上はその敗者に対する手当はそれなりに手を尽くすべきだろう。そして先端技術に対する長期的な投資も御上がしっかりと手当をしていくべきだろう。
税制、医療、年金なども厄介な問題だろう。医療費に30兆円も費やすのはなかなか異常と言わざるを得ない。この辺も制度や負担の見直しが必要だろう。年金についてもこの先は自己対応が主流になっていくべきなのだろう。国家は振れば金が出てくる打ち出の小槌を持っているわけではない。税金と言う国民の負担で成り立っている。この国も子供にもう少し国家と個人の関係をしっかりと教えた方が良いのかも知れない。消費税は財政の切り札のようだが、この先、段階的に15%程度まで比率上げるのは止むを得ないだろう。
内閣が変るたびに色々な政策が生まれては消えていくが、この国をどんな国にしたいのか、その具体的な姿は何も見えては来ない。自民党の政治はもうたくさんだ、政権が変わればこの国も変わるかもしれない、そうして政権交代が実現した。しかし、交代した政権も今のところ政治が変わったという証を示すことが出来ないでいる。同じことの繰り返しのようで何の変化も進歩もない。それはこの国をどんな国にしたいのか、御上も国民も具体的な設計図を描けないでいるからだろう。
今度の内閣はそれを描くことが出来るのか、この内閣がまた短命で終わるのか、長期にわたってこの国の舵を取り続けるのか、それはこの先の数ヶ月にかかっているだろう。良くも悪くも日本は我々の国で、その国をどうするのかはお上だけの責任ではなく、この国の国民すべてがその責任を負っているのだということを我々国民もしっかりと自覚すべきだろう。どんな国にするのか、その絵を描いてくれるのは御上ではなく、我々国民自身がそうすべきなのだろう。国家と国民は一蓮托生運命共同体なのだから、この国をどんな国にして次の世代へ引き継いでいくのかは我々自身がその責を追うべきなのだろう。
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