普天間の移転問題は、結局、辺野古沿岸に埋め立てで基地を作ると言うことになって、元に戻ってしまったようだ。若干の修正はするようだが、基本的には何も変らない。前政権で10数年もかけて出した結論なのでこれ以外はなかったのだろう。端から見ていてもそれは明らかだった。
国外などというのは、日米同盟の基本を変えると言うことなので論外のことだろうし、仮にそれを主張するなら、ただ、「米軍は悪、国内から出て行け」というだけでは子供の論理で、そうした安全保障上の条件が変ることに、自国の安全と東アジアの安定にどう対応していくのかを示すべきだろう。
県外というのもなかなか難しい。地理的に沖縄と言う場所は、朝鮮半島にも台湾にも両方に近く、この両地域に関心を持たざるを得ない米国が、戦力を展開するには動かし難い場所だろう。そんなことも前政権では当然考えたことだろうから、そうした在日米軍再編と戦力の展開と言う軍事的合理性の中に普天間移転があるのだろう。簡単にあっちだ、こっちだとそれだけを取り出して言えるものでもないだろう。
最初からあまり手を出さずにそっと進めて、その中で、別の区域の返還など附帯条件の追加で米国から譲歩を引き出す方が利巧だっただろう。これといった具体的な成算もなく、どうしてあんなに力を込めて「県外だ、国外だ」などとその場の思いつきか、格好をつけるためだけのようなきれいごとを言ったのか、不可解なことだ。
更に不可解なことがある。それは北朝鮮の韓国哨戒艦に対する魚雷攻撃だ。一体、何の目論見があったのだろうか、攻撃でどんな利益を得ようとしたのだろうか。瀬戸際外交にしてもちょっと度が過ぎるようだ。以前に韓国と北朝鮮の哨戒艇同士で戦闘が起きたことがある。この時はハイテク射撃指揮装置と高性能砲で武装した韓国側の圧勝となり、北朝鮮は大いに面目を失った。その意趣返しというのだろうか。それにしても何とも乱暴で危ないことをしたものだ。
北朝鮮は、韓国側は直接武力行使はしないという読みで、核を背景にまたぞろ強気外交を推し進めようと言うのだろうが、それはどうなのだろう。中国も今回はさすがに微妙な立場に追い込まれ、これまでのように北朝鮮の後押しはできないだろう。長期の不況で国内は疲弊し尽くし、デノミの実施も大失敗で、素人にも成功の目はないように思えるデノミだが、崖っぷちまで追い込まれ、金正日の息子に政権を引き継ぐための一世一代の大博打なのだろうか。為政者は国家と国民のために力を尽くすべきで、自分の一族の保護繁栄のために国民を危険な賭けに晒すべきではない。これも何とも不可解なことには違いない。
今回のことで、海上保安庁に厳重警戒を指示したと言うが、海上保安庁に対潜戦闘能力はない。浅海域での精密雷撃を成功させた北朝鮮の魚雷戦能力は、これまでの評価よりもはるかに高い能力を有しているという。ここは世界でもトップクラスの対潜戦闘能力を有しているという海上自衛隊の出番だろう。無為な犠牲を出すことのないように政府の適正な対応を望みたい。
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