政治崩壊が本当に現実になりそうだ。鳩山内閣は普天間移設問題で深みにはまって支持率は低下するばかり。高速道路料金見直しでもまたごたついているところに今度は小沢幹事長の検察審査会の「起訴相当」の決定でまた大きく揺らぐだろう。ご本人は至って強気のようだが、実際に起訴されるかどうかは別問題で、法廷で決着をつけるべきという判断は民主党や政権に与える影響は極めて大きいだろう。実際に状況的には相当に黒に近いのだからこの決定もやむを得ないだろう。

普天間問題はとうとう振り出しに戻って来たようだ。どの道この結論しかなかったのだから最初からその場で格好をつけないで現状案に微修正程度にしておけばここまでもつれることもなかったし、政権に与える影響も少なかっただろう。民主党が政権慣れしていないのか、良いことばかりリップサービスして政権を奪取したからなのか、ここ一番の判断の悪さは目を覆うばかりだ。この7ヶ月でこれといった成果が何もないのはやはり運営そのものに問題があるからだろう。何でもかんでも見直しでその挙句にもめて何も決まらないのでは何をか況やだろう。

この政権はもう長くは持たないだろうが、寄り合い所帯の民主党では次に続く政権もどうなるか分かったものではない。その点では自民党政権の方がはるかに現実的で強かだった。市場原理主義も資本主義国家を標榜するのであれば正しくそのとおりだろうと思う。経済活動に御上があれこれ口を出していいことはない。しかし、自由競争ではどうしても勝ちを収める者と敗れるものが出てくるのはやむを得ないことだろう。その敗者に対して何らかの救済措置を講ずるのは御上の仕事だろう。前政権が嫌われたのは、これを怠ったからだろう。

それともう一つは、自民党は何時までも御上政治を続け、密室であれこれ国民に見えない政治を繰り返して来たことだろう。この点は民主党の方がまだましなのかも知れない。この国の国民は超他力本願な国民だが、教育のレベルは高いし、盲目ではない。政治家の先生方と有権者とを比較しても有権者の知識は政治家の先生方に勝るとも劣らないレベルを維持している。そういう国民に「民は黙って御上に従え」と言わんばかりの密室政治を続けて来たことが、党利党略第一、国民第二の印象を与えたのだろう。

この国の国民は強い指導者が好きだ。「俺について来い」、胸を張って国民にそう言えるような決断力のある強い指導者が大好きなようだ。そんな指導者の下で、市場原理主義、先端技術立国、そして政府主導の弱者を切り捨てない優しい政治、国民に開かれた公正な政治、この辺りを目指すことが出来る政党が今後の政局で優位に立つだろう。ただし、国民は一体何を望むのかをはっきりさせないといけない。

国家や政府は打ち出の小槌を持っているわけではない。政策を実行するには多かれ少なかれ金がかかる。税金は払いたくないが、あれもしてくれ、これもしてくれでは国家財政はあっという間に破綻する。高負担でも大きな福祉を求めるのか、それともある程度は自己責任で負担を減らしてほどほどの福祉を求めるのか、その辺りは国民がしっかり考えて選択すべきことだろう。大体、国が年間に負担する医療費が35兆円とはどういうことなのだろうか。自己責任ということも成熟した国家への道筋では必須になることをよく理解しておかないといけない。何でも御上、御上では、御上も立つ瀬はないだろう。

春の竹の子のように次から次へと新党が生まれてくるが、新党はあくまでも補完勢力であり本格政権に成長するまでにはそれなりに時間がかかる。先行きがどうなるかも不透明な部分が大きい。ここはやはり自民・民主の2大政党がしっかりしてくれないと大いに困ることになるだろう。自民党にしても民主党にしてもこの半年間でそれなりに身に沁みただろう。この国の将来のために政治家も国民も次の世代に何を残すことが出来るのかそれをしっかりと考え、次の一歩を踏み出すべきだろう。

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