知恵を絞りながらトラブルを克服して、小惑星探査機「はやぶさ」は遂に地球への帰還へ最終段階に入ったようだ。搭載しているカプセルは大気圏に投下され、オーストラリア・ウーメラへ着陸するようだ。「はやぶさ」のカプセルは、日本時間6月13日(日)23時頃、地球大気圏に再突入し、ウーメラ立入制限区域への着陸を目指すという。今後「はやぶさ」は、カプセルを精密に落下させるため、数回の軌道修正を実施するようだが、良い結果を期待したい。

さまざまな困難やトラブルを知恵と努力で乗り越えて3億キロの距離を飛行して地球帰還を果たした「はやぶさ」プロジェクトは立派の一語に尽きる。それを支えたのはこれまで蓄積してきた先端技術だろう。このような快挙を成功させたJAXAチームには敬意を表したい。

2003.5.9打ち上げ(M-Vロケット5号機)
2003.5~7イオンエンジン稼動開始
2003.9イオンエンジン1000h稼動
2004.5地球スウィングバイ
2005.8イトカワとランデブー
2005.9~11イトカワの科学観測成功
2005.11サンプル採取のためのタッチダウン
2005.11離陸後、科学エンジンからの燃料漏洩と、同エンジン機能が復旧不能
2005.12燃料等のガス噴出によると思われる外乱により姿勢を喪失、地上局との交信が途絶•
2006.1ビーコン信号を受信
2006.2低利得アンテナを介してテレメトリーデータが復調
2006.3中利得アンテナにて、テレメトリデータ取得
2006.3正確な探査機の位置・速度が3ヶ月ぶりに推定
2007.2リアクションホイール1台を駆動して三軸姿勢制御を再開
2007.4~10第1期軌道変換
2009.11イオンエンジン(スラスタD)が異常を検知し自動停止したため、イオンエンジンA中和器とイオンエンジンBイオン源の同時運転開始
2010.3.27イオンエンジンによる地球外縁部への軌道変換完了
2010.6地球引力圏到達(予定)

このプロジェクトの経過を見ても並大抵のことではないのが良く分かる。探査衛星は生き物ではないので意思や感情はないだろうが、正に満身創痍の帰還と言ってもいいだろう。帰還に当たって故障したイオンエンジンの正常部分をうまく連結させて帰還の推力を確保するなど圧巻、天晴れな離れ業だった。事業仕分けなどとろくな知識もなく良い気になっているどこぞの政治家にはこうした偉業の意味が分からないだろう。ぜひ、衛星サンプルの回収成功を祈りたい。

日本ブログ村へ(↓)

https://novel.blogmura.com/novel_long/