2010年が始まった。今年はどうも激動の年になりそうな気がする。まず日米安全保障条約改定50年となる今年だが、日米関係は米軍普天間基地移設問題で、一層冷え込む可能性が大きい。普天間問題では米側は一貫して日米合意に基づくキャンプ・シュワブ沿岸部への移設の履行を訴えてきた。

しかし、鳩山政権は「辺野古ではない地域に移設したい」と表明、なぜ辺野古がだめなのか、その理由も明らかではなければ具体的な候補地も出て来ない。こんな現状を米側が理解して提案を呑むとは思えないのが現状だ。普天間の辺野古移設が実現しないと平成8年に合意した普天間飛行場の返還そのものが白紙に戻る可能性もある。日米は自民党政権下で辺野古移設を明記したグアム協定を結んでいるので、辺野古以外への移設を提起することは協定破棄と受け取られかねない。

協定が無効となると普天間移設とパッケージとなっている在沖海兵隊8千人のグアム移転や、嘉手納基地以南の米軍6施設の返還など沖縄の負担軽減策も白紙化する恐れがある。アジア・太平洋地域の平和と安全に欠かせない日米同盟維持の観点から米側は最終的には普天間移設をめぐる協議に応じるだろうが、双方の関係に溝が生じることは間違いないだろう。

日米関係が冷え込む中で懸念されるのが中国の動向だろう。昨年末には小沢幹事長率いる総勢約6百人の大訪中団を受け入れ、中国は民主党政権の誕生を心から歓迎しているようだ。しかし、東シナ海のガス田共同開発問題や中国製ギョーザ中毒事件などの懸案事項については中国は何ら具体的な対応を取ろうとはしていない。

今の中国との関係はよほど注意してかからないと中国の思う方へ引きづり込まれてしまう可能性が高い。現政権はこの辺りをどう考えているのか具体的な形は全く見えて来ない。今年は日米、日中の関係をどのように進めて行くのか、友愛鳩山政権の正念場だろう。

経済にしても言葉だけ、文字だけの総合経済対策は示されたが、具体的な方策や財政的な手当てなどは全く形が見えて来ない。「コンクリートから人へ、」は聞こえは良いが、企業を強化しないと雇用は生まれないし、経済も回復しない。環境、エネルギー、医療・介護、観光などで100兆円の市場と450万人の雇用が生まれるだろうか。総合的なバランスの取れた経済政策が必要だろう。

鳩山政権は発足後の3ヶ月間、これといったことは何もしていない。マニフェスト自体がもうほとんど無理なことばかりだったが、それでも無理やり実行しようとしているのはいただけない。口先だけで聞こえの良いことを言っていてもすぐにメッキは剥げて来る。どっちを向いても良い顔をしようとしてもそれは元々無理なことだ。ばら撒きも限度がある。大体、この財政難の時期に社会保障費が国家予算の半分を超えるというのはそれだけでも異常な事態だ。

良い世の中にしてもらわないと困るのだが、すべてにおいて良い世の中というものはあり得ない。嫌なことも言わなければいけないだろうし、やらなければいけないだろう。負担を負えというのならそれはそれで良い。しかし、その前に一体この国をどこに導いて行こうとしているのか、その方向と筋道をしっかりと示すのが政権を司る者の責任だろう。今必要なのは虎のように孤独でも強く強かに行動出来る指導者であって、あちこち良い顔を振りまいては身動きが出来なくなるような指導者ではない。その辺りをしっかりと考えてこの国の政治を進めて欲しいものだ。

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