最初は圧倒的な支持を得て順風満帆で船出した鳩山内閣も国民新党と社民党に振り回され、閣僚間の意思疎通は上手く行かず、米国には冷たい目で見られ、後からは御大に睨みを効かされ、それらの狭間で右往左往して何も思うことも出来ず、何だか気の毒になって来た。

衆議院で300を超える議席を確保しているのだから何も選挙で勝ったわけでもない弱小政党などと連立することなく堂々と思う道を進めば良いだろうと思うが、・・・。そして来年夏の参議院選挙で堂々と過半数を取って名実共に政権政党となることを目指すべきだと思うが、どんなものだろう。

まず外交だが、きれいごとを言わずに現実を見据えた方が良い。主権国家にこれほどの規模の外国軍隊が駐留することが本来妥当かどうかは将来の議論に委ねるとして、中国の行方が不透明な状況では当面は米国との同盟を軸に考えざるを得ないだろう。もしも米国との同盟から距離を置くのなら一つの選択としては韓国、オーストラリア、インド辺りを軸にした共同体だろうが、集団自衛権の問題やら各国の利害やらこれも結構難しいだろう。また日本自体も相当程度の防衛力を備える必要があるだろうが、その辺りはあと一頑張りというところだろうか。

経済は、何と言っても企業の力を強化しないと発展も雇用の拡大もあり得ない。「コンクリートから人へ」と言えば聞こえが良いが、庶民に金をばら撒いても安定した雇用は生まれない。もっと直接企業を強化するような対策も是非必要だろう。その点では規制緩和、民営化路線の小泉・竹中路線は概ね正解だろうと思う。大体、経営にコスト管理の観念がない御上が口を出してもあまり良いことはないだろう。JRにしても長い時間はかかったが、最近はなかなかよろしくなって来ている。企業経営にはやはり民間活力だろう。

ただし大量生産ではもう新興国には対抗し得ないのは明らかなのでやはりエレクトロニクス、環境、航空機、宇宙開発、ナノ技術等の分野で最先端技術を身につけてこれを基礎とした産業開発を推進すべきだろう。ただし、ある程度の弱者保護や敗者復活対策と言うものも必要だろう。しかしあくまでもそれを核にすべきではなくやはり自己努力と責任の原則は守るべきだろう。

政府としての雇用分野では介護、そして農林水産業だろうか。特に食料の自給率上昇は火急の対策なのでその分野の振興対策は待ったなしで行うべきだろう。農業の企業家はなかなか難しいと言うが、休耕地がずい分あると言うのでこれを集約した上での企業化は見込みがあるのではないだろうか。もちろんある程度の政府援助は必要だろうが、・・。ただ、条件の厳しい分野なので求職者には好まれないかも知れないが、・・。

政治主導と声高に叫んでいるが、政治は政策と方向を示すことがその役割で、何でもかんでも政治主導というのはどんなものだろう。今後のあるべき政府の姿は、政・官の癒着ではなくこの二つが協力して国家の将来を構想して作り上げて行くことが必要だろう。政治主導とは言っても政治家だけでは行政は進まないだろう。この辺はやはり実務家である官僚の協力が不可欠だろう。自民党時代の癒着もよろしくはないのだろうが、「役人風情が、・・官僚が、・・」と居丈高になるのはどんなものだろう。

この国をここまで持ち上げてきた大きな力の一つは官僚であることは間違いないことなので政と官の相互補完的な関係というのが最も望ましいのだろう。今天皇も少し前までは大連立失敗や架空献金問題で代表を滑って涙ぐんでいたのだからまずわが身を省みるという謙虚な気持ちも大事だろう。

そんな訳で最も望ましい政府の将来像は、必要最小限の体制でやるべきことをやるべき時に的確に実行出来る政策集団として組織すべきで「ジャスト政府」というのが妥当だろう。その上で官・業と良好な連携を保って行くべきだろう。その辺りを癒着に落ちることなくどう連携して良い政策を立案し、実行していくかを考えるのが政治家の力量だろう。

政権を引き継いでもすぐに何か新しいことが実行出来るわけでもないだろう。言葉でぶち上げるのは容易いが、それを実行するのは容易ではない。そのことは政権を取って3ヶ月の民主党も身に染みて知ったことだろう。勧善懲悪の時代劇ではないのだから前政権はすべて悪、新政権は明治維新・世直し黄門様と言ったパフォーマンスはあまりにも単純極まる茶番なので止めた方がいい。現実を良く見据えて継続すべきことは継続し、改めるべきことは改める、そうした現実的な対応が必要だろう。

前回の選挙の大勝は、社会の閉塞感に窒息しかけた、と自分たちにおいて信じていた国民が、あまり期待は出来ないが、民主党に変れば何かが変わるかも知れないというはかない期待にかけたものだったのだろう。しかし、我侭な我が国の国民はやっぱり無理だったとそろそろ実感として感じ始めているのだろう。自分たちが選んだ政権なのでまださほどのブーイングは出てはいないが、これが自民党政権だったら支持率は一桁だろう。実際その程度のことしかやっていない鳩山政権なのだから。もっと現実に沿ったしっかりとした政策を強靭な意思で着実に進めて行くのが最善の道だろう。日本人は集団順応型の国民でやはり強い指導力のある御上が好きなのだから。ただし傲慢不遜はいけないが。

閣僚の中で良くやっているのは、北澤防衛相、岡田外相、長沼厚生労働相辺りだろうか。北澤氏はなかなかの現実主義者だ。岡田氏も原理主義かと思ったが、それなりに現実を見据えた路線を取ろうとしているが、何だかやつれてしまって気の毒な気がする。長沼氏は疲れすぎてヒステリックになっているのか目が吊り上っている。自民党がもたついている現状ではまだ当分は民主党政権が続くだろうし、この国の行方はなかなか厳しいものがあるのでどうか頑張って欲しい。

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