護衛艦くらまの事故はどうも韓国籍のコンテナー船が前の貨物線を追い越すために増速し過ぎ、追突しそうになって急激に取り舵を取ったことが原因のようだ。ほとんど横向きになってくらまの進路を塞いだというのでは衝突も止むを得ないだろう。結局事故の原因はコンテナー船の操舵ミスということで自衛隊も海保も過失はなかったようだ。

あたごの時もそうだったが、海上自衛隊の護衛艦は高性能のレーダーを装備していてどうして相手を発見出来ないかと言うが、現在の艦船にとって脅威は空から来るので高性能のレーダーは対空が主な用途となる。また対水上にしろ対空にしろ軍艦に装備されているレーダーは1秒でも早く敵を発見して撃破するためのもので通常の航海には一般の船舶とさほど変らない航海用のレーダーが使われている。衝突防止装置等もあるが、それも民間の船舶と変らない。しかも狭い海峡などではレーダーで相手を発見していても今回のように突然目の前に船が飛び出して来たら7千トンほどもある艦船は急には止まれない。

戦艦大和などは舵を切ってから艦が旋回を始めるまでに100秒ほどもかかったということだ。そのかわり旋回を始めるとあっという間に頭を振ってしまうらしいので操鑑もなかなか難しかったという。護衛艦はそれほど巨大ではないが、7千トンというと決して小さい船ではない。それが時速20キロほどで進んでいるのだから後進全速をかけてもなかなか止まらないだろう。車でも速度が出ていると急ブレーキをかけてもかなりの距離を走らないと停止しないのと同じことだ。

また火災にしても戦闘状態ではないのでペンキなどの可燃物を搭載していたのだろうが、戦闘状態であれば可燃物は徹底低に排除される。弾薬やミサイルが誘爆したらというが、おそらく実弾などはほとんど搭載していないだろう。しかしあの程度の火災を自力で消火出来なかったことは戦闘艦としてはちょっと問題かも知れない。艦のダメージコントロールについては今後再考の要があるかも知れない。

しかしあの狭い海峡で、しかも多数の船舶が対面通行しているのに大きく舵を取るのは危険極まりないことだろう。護衛艦では総員配置で艦首にも見張りが配置されていたというのでけが人が出なかったことがせめてもの幸いだろう。海のことは良く分からないが、狭海峡通過時の航海方法には再考を要するかも知れない。

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