京都議定書後の2013年以降の地球温暖化対策の国際的枠組み構築を目指す国連気候変動サミットでオバマ米大統領、鳩山首相、胡錦濤・中国国家主席らが演説した。鳩山首相は20年までに1990年比25%の温室効果ガス削減の中期目標を国際公約として表明、途上国の削減努力への資金援助などの支援体制も示し、鳩山イニシアチブとして日本の主導的役割をアピールした。

鳩山首相は、削減目標を達成するため国内排出量取引制度や温暖化対策税の検討を含む、あらゆる政策を総動員しても実現を目指し、さらに先進国が率先して温室効果ガスの削減に努めることを呼びかけた。一方、中国、インドなどはすべての主要排出国の参加が日本の国際社会への約束の前提であることを強調し、次期枠組みの実効性を求めた。

途上国支援については、日本を含む先進国が官民の資金で貢献することが必要と提唱し、支援を受ける途上国側の排出削減を検証できる方法と先進国側が技術移転する際に知的所有権を保護できる枠組みの必要性を訴えた。

今回のサミットは、次期枠組み合意の期限とされる12月の国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議に向けて各国首脳が合意形成の意思を誓い、共有する舞台と位置づけられている。政権発足間もない鳩山首相を演説者の一人に選んだのも野心的な目標が議論を活性化するとの期待が国連側にある。

潘基文国連事務総長は、時代を決定づける課題である気候変動に取り組む世界の指導者の決意を示したと今サミットが京都議定書後の地球温暖化対策の国際的枠組み合意に向けて新鮮な風を吹き込んだと評価した。一方で潘事務総長は、先進国の温室効果ガス削減の中期目標(20年まで)について、不十分だと指摘し、90年比で25%削減を表明した日本と同様、先進諸国に目標を引き上げるよう求めた。

二酸化炭素排出規制はこの先最も重要な国際的課題の一つだろうが、高らかに宣言した鳩山首相は良い気分だろうが、どうも体よく利用された感がある。二酸化炭素排出規制は各国ともその必要性を認識しながら自国の経済発展の余地を残すために少しでも有利に立ち回ろうとしのぎを削っている課題である。

こうした国際会議で高らかに宣言したからにはその実行に向けて重い責任を負うことになるが、言ったことが相当に高いハードルだと言うことなので実際にどの程度目標を達成出来るのかかなり難しいところだろう。財界などはこの宣言に強い拒否の姿勢を見せていたが、言ってしまったものは仕方がないのでしぶしぶ協力の意向を示している。

しかし相当な設備投資が必要なことから企業の生産拠点を一部海外に移すなど日本脱出を考えているのだろう。どうも民主党はマニュフィストで宣言したことを何の説明もなくいきなりやるやると言い出すのがお好きなようだ。しかし国の舵を握ったのだから何ごとにももう少し慎重な議論があっても良いのではないだろうか。まさか言ってしまえばやらざるを得ないのだからそれから対策を考えれば良いなどと思っているわけでもないだろうが、・・・。

主要国は表向き賞賛しているようだが、裏では良くぞ言ったとせせら笑ったり舌を出しているのだろう。中国やインドなどは、それ、日本が宣言したのだから他の主要国もしっかりと具体的な数値を示せ、と言うだろう。自分たちはそれが出揃ってからそれなりに対応すれば良いと、・・。

まあ日本と言う国はお人好しと言うのか民主党だけでなくどうしてこうも外交下手なのだろうか。米国ともまずは首脳の個人的信頼関係を築いてなどと言っているが、米国はそんなものよりも自国の利益が最優先で握手をしたからと言って安心していると足をすくわれる。ロン・ヤスもブッシュ・コイズミも米国の利益をそれなりに優先したから続いたので、今は新政権の様子を見ているだろうが、ご自慢の情報網を総動員して分析して、これから先どんな要求を出してくるか分かったものではない。日本組し易しの印象を世界に与えないようにすべきだろうと思うのだが、・・・。

政治が必ずこの国を良くすると豪語する優秀な政策集団の民主党なので大丈夫とは思うが、選挙ならともかく国政を担う政権政党なのだから重要な政策を実行する時にはもう少し具体的に方法論を説明すべきではないだろうか。それが国民主権ではないのか。

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