今週の日経平均は連休が入るので2日しかない。その2日も当面は新政権の打ち出す「内需重視政策」をを見ながらそれに応じた展開を見せるだろう。その意味で今後注意を要するのがTOPIXだろう。日経平均とTOPIXには大きな違いがある。

どちらも東証1部銘柄が対象だが、ということでは同じだが、採用銘柄数に違いがある。日経平均の225銘柄に対し、TOPIXは全銘柄を対象として、しかも日経平均は株価だけが計算対象だが、TOPIXは株価と発行株数の両方を対象とした時価総額方式だ。日経平均は輸出関連銘柄の影響を受けやすくTOPIXは金融株、消費関連、建設などの内需関連の影響を受けやすいという特徴がある。

ダム建設を始めとする公共工事の見直し、派遣問題の見直し、さらに亀井大臣は貸し渋り・貸し剥がしを抑え、借入金の3年程度猶予するという法案を今度の臨時国会に提出し成立させるという。返さなくてよいとは言っていないが、当面借金の棒引きとも見られかねないこの法案は金融機関だけでなく、商取引自体が萎縮し、内需振興ではなくなる心配がある。

総理大臣は日本総合株式会社の社長だろう。今時時代遅れの社会主義国になるというのならそれはそれで別のやり方があるだろうが、資本主義、株式会社組織である以上、収入と稼ぎは国家の繁栄のために絶対に必要だろう。無駄をなくすと言ってもその無駄も主観的なものだろうし、第一、パイの大きさが増していかないことには先細りになるだけだろう。

資本主義は自由競争、市場原理主義が原則だ。これまでは株主、経営者等に重心が偏り過ぎて弱者が切り捨てられる部分があったのかも知れない。国家としてその救済と言うことは当然必要だろうが、一方に偏り過ぎても組織は発展しない。バランスの取れた経済対策というのが当然必要だろうが、どうもその辺りが危ういように思う。

今回民主党は弱者の不満をうまく受け止めて富の弱者=庶民への配分を前面に押し出し、これまでの政官財を悪代官や悪徳商人のように印象付けてご老公の世直しよろしく308人の議員を押し立てて権限を振るっている。まあこれは現幹事長辺りが書いた筋書きだろうが、これまでの政権にしても官僚にしても財界にしても何事もすべて悪と言うわけではない。人生をかけてこの国のために頑張って来た人達も大勢いる。

大体、自分たちがすべて正しいなどと思うことは単なる思い上がりでそれ自体がすでに間違っている。国民の後押しがあると言うかもしれないが、今日は旗を振って歓喜の中で出迎えたのに明日は礫を投げるのがこの国の国民だ。まだスタートしたばかりの新政権だが、何だか自分たちのマニュフィストに縛られて柔軟さをなくしているようにも見える。

日本株式会社の社長が代ったのだから経営スタイルが変わるのは当然だろう。だが、どのような経営者になろうと会社がその収入を安定して着実に伸ばし、その会社に集う関係者が会社に誇りと生きがいを感じるものでなくてはいけない。政治主導で国民の信託を受けた308人の議員を擁するとは言っても、それだけで何事も出来るものではない。この国の総力を結集しないと国が危うくなるだろう。悪に見立てた旧経営陣を批判して叩くだけでは国家はうまく機能はしないだろう。

そして今一番大事なことはあれもしてあげます、こんなものをあげますではなくて、今の時代を生きる者達が何を我慢して次の世代に何を残すことが出来るか、どんな日本を引き継ぐことが出来るかだろう。甘い汁を吸い尽くして負担ばかりを投げるのではこれまでこの国を支えて来た人達に顔向けが出来ないだろう。

今ここで新政権に対して評価を下すことは出来ないし、またすべきでもないだろう。しかし、この政権が本当に真価を発揮すべきは悪に見立てた旧勢力を叩くことではなくてこの国の勢力を結集してどんな日本を作っていくかだろう。米国の高官が、「選挙は詩、政治は散文」と言ったらしいが、なかなかうまいことを言う。

給付金の支給、減税、教育、道路無料化など何でもあげますという詩からこの国の明日のために何を負担してもらえるのか、何を我慢してくれるのか、それを国民に向かって言い出すべき時に新政権の真価が問われるのだろう。日本株式会社の新社長が、どのような手腕を見せてどう経営をして、どこに導いていこうとするのか、これから日経平均に加えて内需に敏感と言うTOPIXにも注意しながら経済の動きも併せて見て行こうと思う。

日本ブログ村へ(↓)

https://novel.blogmura.com/novel_long/