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平成22年度で要求される通称「22DDH」についてその概要を紹介したが、16・18DDHと比較するとその内容がかなり異なってるのが目立つ。まずその大きさだが、全長が248メートル(ひゅうが・16DDH:197メートル)と50メートルほども長い。ヘリの離発着スポットも1ヶ所増えて5ヶ所となった。また概念図を見ると艦首が若干持ち上がっているように見えるが、これを固定翼機運用のためのスキージャンプ台と言ったら考え過ぎだろうか。

速力は概ね30ノットとひゅうがと変わらない。このクラスの艦としては比較的高速のようだ。韓国の独島、オーストラリアのキャンベラ、英国のオーシャンなど強襲揚陸艦としての機能を重視したものは比較的低速の艦が多いようだが、艦隊指揮中枢艦として艦隊行動と言うことを考えるとそれなりの速度が必要なんだろう。

固有武装は、20ミリCIWS2基、シーRAM2基のみで短魚雷発射管も装備しないようだ。この点はFCS3改、VLSを装備するひゅうがとは大きく異なる。ひゅうががヘリ搭載護衛艦の流れを汲んでいるのに較べて22DDHは子航空運用艦つまり空母としての能力をより強調しているようだ。実際に搭載機は哨戒ヘリ7機、輸送救難ヘリ2機とひゅうがの2倍以上だ。実際には14機のヘリ搭載能力があると言うが、20機程度の運用能力はあるだろう。

さらに洋上給油能力や兵員輸送能力など強襲揚陸艦としての機能を持つが、これは対馬・南西諸島など離島防衛に大きな威力を発揮するだろう。兵員400人、車両50両と言うと増強普通科中隊程度の装備、人員を輸送できるようで離島防衛にはかなり有力な戦力になるだろう。

その他、格納庫面積はひゅうがクラスの3倍程度になるというが、そうすると航空機への相当な整備提供能力があるだろう。概算要求では、
  「現有護衛艦の除籍に対応した対潜戦等における航空運用等の中枢艦として哨戒ヘリコプター等を運  用・整備する機能を引き続き保持するため、新型艦を整備」
  「国際平和協力活動、災害派遣、邦人輸送等の多様な事態において、洋上拠点となる輸送機能等を強  化」
となっているようだが、固有武装は最低限の個艦防御能力程度に止めて攻撃力は搭載航空機に委ねることになるより空母に近い護衛艦になるだろう。

建造費はひゅうがクラスとほとんど変わらないようだが、FCS3改、VLS、大型ソナーなどを省くとこの程度の価格に収まるのだろうか。あるいは英国のオーシャンのように構造は商船構造という大胆なことも考えるが、海上自衛隊はそこまではコスト削減はしないだろう。

いずれにしても16・18DDHの後にはさらに大型の空母に近い護衛艦を出してくるだろうと思ったが、思い切った艦を出して来たものだ。これが完成して護衛艦隊に加わるとかなり柔軟な運用が出来るようになるだろう。米海軍とは当然連携して作戦を行うのだろうが、固定翼機の運用は当面考慮外のことになるだろうが、それでも多目的に活用できる能力を備えた22DDHの建造は海上自衛隊独自、単独の作戦能力もかなり向上させるだろう。

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