民主党は、2010年度から数年かけて段階的に高速道路を無料化すると謳っている。それはどのようなことかというと高速道路会社6社が管理する高速道路は原則として無料にする。ただ無料にすると渋滞が想定される首都高速・阪神高速などでは5割引、7割引などにして影響を確認しつつ実施するという。無料化することにより、生活コスト・企業活動コストの引き下げ、地域活性化、温暖化対策などの効果があるというものだそうだ。

そのための財源だが、高速道路の年間料金収入は約2.5兆円というが、補修や新設も含めた高速道路整備費用は、必要性を十分検証した上で国の一般財源より行うという。また日本高速道路保有・債務返済機構が抱える債務35兆円は無料化開始時点で国が引き継ぎ毎年1兆2600億円を一般財源から捻出して償還に当てるという。

無料化で高速道路が有効に活用されることになるので一般道の渋滞を解消するためのバイパス道路建設が抑制でき、国・地方財政負担の軽減に繋がるということのようだ。民主党によると次期衆院選のマニフェストでは高速道路無料化を2010年度予算から数年かけて段階的に行うと入れることを検討しているとのことだそうだ。

今後、高速道路を無料化していくためには経済効果やバイパスの建設費を相殺しても少なくとも3兆円程度の財源が必要だろうが、それに見合う効果が期待出来るかと言うとどうもそんなに簡単でもないのではないだろうか。この財政難に毎年3兆円と言う財源を手当てするのはかなり難しい。

その他にも民主党の主要政策は8本で、初年度に実施するのは
  ▽「子ども手当」の創設
  ▽高速道路無料化
  ▽高校無償化
  ▽求職者支援制度
  ▽後期高齢者医療制度廃止
の5本。主要政策8本が完全に実施される4年後には19・1兆円の財源が必要となる。財源は昨秋時点で▽特別会計の積立金など「埋蔵金」の活用7・2兆円▽天下り禁止・入札改革1・8兆円▽補助金削減4・3兆円などに加えて各省庁所管の121ある公益法人の積立金約1兆円を第2の埋蔵金として活用することを視野に入れているようだ。

政策を実施するには財源が必要だが、政府も打ち出の小槌を持っているわけではないのでどこからか財源の手当てをしないと何も出来なくなってしまう。4年間は消費税は上げません、それでいてこれだけ国民に還元しますと言っても長期にわたっての継続は不可能だろう。上の財源でも半分以上は1回使えばなくなってしまう埋蔵金と称する積立金だ。

JRは民営化されてからなかなか良くなっている。駅構内に色々な店が出て駅も楽しくなったので時間待ちが苦痛ではなくなった。車内アナウンスなどのサービスも向上した。これも民営化されたための企業努力の結果だろう。高速道路会社はまだ緒に着いたばかりでこれと言った目だった変化はないが、それでもサービスエリアなどは以前よりもやや賑やかになっている。今後時間が経てばさらに様々なアイデアが出て来るだろう。

郵政にしてもそうだが、一旦お上から切り離して民間の手に預けたものにお上があれこれ介入するのはどうかと思う。民間の活力や柔軟性を取り入れるための民営化であって事あるごとにお上が口を出したのでは何のための民営化か分からなくなってしまう。企業としての責任は企業が取るべきでもしも利用者がその企業を信用できないのなら取引を停止するなり預金を引き上げるなり別の商品を選ぶなり別の手段を選択すべきでそこで企業競争が行われ、淘汰が起こって体制の改良が進むのではないだろうか。

基本的に道路の維持管理費と新規建設は受益者による負担と会社の経営努力でコストを抑えていけば良い。高速道路と一般道との接続や道路の構造などによるシステム構造的な渋滞原因もあるので無料化したからと言って渋滞がなくなるというわけでもない。交通量の変化などで却って渋滞が酷くなる場所もあるだろう。そんな部分はまた金をかけて改良していかないといけない。物流コストの低減など恩恵を蒙る部分もあるだろうが、それがどの程度経済に反映するか不明だ。流通全体のコストに飲み込まれてしまうかも知れない。

何よりも自民党にしろ民主党にしろ政権欲しさの国民に対する機嫌取りのような政策ばかりを打ち出しているが、この国をどういった方向に導いて行くのかその根幹が見えて来ない。日本は外交的にも内政的にも経済的にも戦後の成長が終わって大きな曲がり角に来ている。

政治は時には国民に負担を依頼したり言い難いことも言わなくてはいけない時があるのではないか。良い政治とは国民に媚びた政治ではなくこの国の行く方をしっかりと示し、そのために必要な時に必要な政策を実行出来ることとその裏づけとなる財源をしっかりと確保することだろう。国民に媚びるだけの政治からは何も生まれては来ない。ただ将来に重い負担を残すだけだろう。

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