北朝鮮の長距離弾道ミサイルが発射された場合、海上自衛隊が日本海に最新鋭の高速ミサイル艇2隻を派遣する方向で検討に入った。派遣が検討されているのは海自舞鶴基地所属のミサイル艇「はやぶさ」と同型艦1隻の計2隻。「はやぶさ」など2隻は対艦誘導ミサイルを搭載しているほか、76ミリ砲や機関銃を装備。時速80キロ以上の高速航行が可能で、海自基地や米軍などと衛星通信システムで直接データをやりとりし、極めて機動力の高い洋上警戒が可能という。北朝鮮がミサイル発射後、観測や落下物の回収、日米韓艦船のデータ収集などのために領海侵犯するなど日本海で活動する可能性があるとして警戒を強化する方針だ。

韓国政府筋は2日、北朝鮮が同国北東部の咸鏡北道内の空軍基地に配備されているミグ23戦闘機の飛行大隊を、テポドン2号とみられる弾道ミサイルの発射準備が進んでいる同道花台郡舞水端里のミサイル発射施設近くに移動させたと述べた。また北朝鮮の平壌放送は1日、ミサイル発射施設のある咸鏡北道舞水端里沖合の日本海上空で3月、米軍の電子偵察機が3回にわたり空中からの偵察を行ったことを非難し、北朝鮮の平和的な「衛星」打ち上げ準備に干渉し、領空侵犯をするなら「容赦なく撃ち落とす」と警告した。同放送は、偵察行為をはじめすべての軍事的動きが、北朝鮮の標的内に入っていることを「肝に銘じるべきだ」と強調した。

北朝鮮のミサイル発射実験を巡って状況は更にキナ臭くなって来た。部隊に派遣を命じる方は様式化した外交手段であっても現場の兵士の方は緊張の極限に置かれた状態で相手と対峙するのだからほんの些細なことで武力衝突と言う事態を招きかねない。北朝鮮は日本を挑発しても危険のない相手として様々な手段で恫喝を繰り返しているようだが、イージス艦3隻、PAC3の展開に加えてミサイル艇まで動員するというのはかなり本気のようだ。当然航空自衛隊も臨戦態勢で待機するだろう。

北朝鮮も言い出したのだからそれなりの兵力の配備はするのだろう。そうした兵力が緊張する日本海で遭遇した場合、どのような事態が起こったちしても不思議ではない。過去に米国の情報収集艦を拿捕し、EC-121を撃墜した北朝鮮だから双方が遭遇すれば相当に過激な挑発をするだろう。緊張の極にある兵士達がそういう状況で偶発的な戦闘行為に走らないとは限らない。

元より戦力的には米国が出るまでもなく日本の自衛隊でも鎧袖一触程度の北朝鮮海空軍だが、そうした武力衝突が発生すれば北朝鮮が何を仕出かすか分からない。最悪の場合、日本本土に対する飽和ミサイル攻撃まで発展しないとも限らない。最も北朝鮮もバカではないだろうから自滅にしか繋がらない攻撃を行うことはないだろうが、・・・。

中距離弾道弾を主兵力とする北朝鮮に日本の自衛隊は打つ手がないかも知れない。日本の戦闘機では足の長さも打撃力も北朝鮮のミサイル発射基地を壊滅させるには到底足りない。十分な航空戦力があっても難しいのは湾岸戦争で証明済みなのだから。まあその時は朝鮮半島全域が戦火に包まれているだろうが、・・・。

これまでは日本は常に武力紛争から遠く離れた後方にいた。しかし今回は遂に日本が65年続いた平和に終止符を打って武力紛争の矢面に立つかもしれない状況になってきた。北朝鮮とそれを取り巻く日米韓と中ロ、それぞれ異なった思惑を抱えて水面下でせめぎ合っている。日米韓という同盟国間でもその思惑は異なっている。そんな複雑な極東情勢の中で戦後初めて武力紛争の矢面に立った日本は国家の威信を保ちながらこの局面をどう切り抜けるのか、相手は小国とは言え、核兵器を保有して大国を翻弄し続ける老獪な北朝鮮、しかも発射するミサイルは打ち上げてみなければ何所に飛ぶかも分からないテポドンだが、・・・。

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