朝鮮中央通信は31日の論評で北朝鮮が「人工衛星」と称して発射の準備を進めている長距離弾道ミサイルを日本が迎撃した場合、再侵略戦争の砲声とみなし、最も強力な軍事的手段によってすべての迎撃手段とその牙城を無慈悲に粉砕すると警告した。論評は、日本が北朝鮮の衛星打ち上げをミサイル開発とみていることについて相互尊重をうたった2005年9月の6カ国協議共同声明を認めない立場を宣言して6カ国協議のテーブルをひっくり返す行為だとけん制した。

困った国だ。何を考えているのかと思うが、北朝鮮にしてみれば経済金融恐慌に見舞われているこの時期米国が直接的な武力行使に出るはずはないと読んでいるのだろう。それは韓国も同じだろうし、まして平和憲法に縛られている日本は全く手も足も出ないだろうから何を言っても大丈夫だと言うことなのだろう。しかも中国とロシアが後ろ盾になっているのでさらに強気なのだろう。

確かに北朝鮮の読みは正しいだろう。米国は注目はしても日本に対する恫喝だけなら直接手を出しはしないし、ましてこんな時期に北朝鮮に武力行使をしても戦費と人命が失われるだけで何も得る物はない。現体制を崩壊させることは容易なことだろうがその後に残される2500万の北朝鮮国民を支援して混乱を収拾するには莫大な費用がかかる。恐らく韓国は合併しても北朝鮮を支えられないだろう。韓国が崩壊すると東アジアは政治的にも経済的にも不安定さを増してそれを安定させるにはまた莫大な費用がかかる。

北朝鮮に対する武力行使は世界の政治的、経済的混乱を増長させるだけで得るものは何もないというのが本当のところだろう。周辺国は何とか北朝鮮が軟着陸してくれれば良い、最低限現体制のままでも崩壊だけはして欲しくないと言うのが本音だろう。それが北朝鮮の狙い目なのだろう。

もしも日本が北朝鮮のミサイルを迎撃したら北朝鮮はどうするのだろう。攻撃すると言っても中距離ミサイルを撃ち込むくらいで他に方法はないだろう。中距離弾道弾ノドンが1,300発ほどあるというから
その全部を撃ち込んで来ることはないだろうが、300から400発くらいは発射するかも知れない。日本のミサイル防衛と言ってもこれを全て迎撃するだけのミサイルはないだろうからある程度の被害は出るだろう。核弾頭を小型化したという話もあるので核を使うという選択肢もある。

日本は北朝鮮に侵攻する能力はなくはないが、かなり難しいだろう。空軍力を使用して発射基地を叩く程度だろうが、戦闘機の足の問題から北朝鮮全域には届かないだろう。空中給油機を持っているので少数機なら足を伸ばせるだろうが、戦力的には限定的にならざるを得ないだろう。米国が直接介入をするかどうかだが、ミサイル発射基地攻撃など限定的な攻撃はするだろうが、北朝鮮本土への侵攻は躊躇うだろう。

こうして考えていくとやはりある程度の軍事力とそれを支える法制度は整備すべきなのだろう。特に相手を叩ける足の長い攻撃力の保持は必要なのだろうと思う。専守防衛というが、兵器が勝手に戦争を始めたことは未だ世界の歴史にはその例がない。軍事力と言うのは個人で言えば生命保険や損害保険のようなものなのだろう。要はその使い方を誤らなければ問題はないということだ。

言いたいことは勝手に言わせておけば良いが、他人様の頭越しにミサイルを発射してそれを妨害したら敵対行為として攻撃するなどと言うようなあきれ返った国がある以上相応の安全保障としての攻撃力は保持すべきなのだろう。戦争は破壊と殺戮、そして永遠に途切れることのない憎しみの連鎖しか生まないが、真に止むを得ない自存自衛の正当防衛は認められるべきだろう。そしてもう一つ、瀬戸際に立たされた時、自分自身を確実に守ってくれるのは自分しかいないと言うことを我々は決して忘れてはいけない。

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