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軽空母は、正規空母と比較して小型の航空母艦のことで歴史的には大型の正規空母に比べて小型で搭載する航空機も少なく装甲など防御能力も低い空母を指した。ただし速力は正規空母と同等あるいは準ずることで低速の護衛空母とは区別される。現代では、短距離離着陸機(STOVL機)を運用する航空母艦のことを主に指し、軽空母とヘリ空母を分けて考えることもあるが、2007年現在、諸外国で就役しているヘリ空母はほとんどがSTOVL機の運用能力も持たされて軽空母化しており、ヘリ空母を広義の軽空母に含めてしまう場合もある。

現代の軽空母の原型となったのが1980年に完成したイギリス海軍のインヴィンシブル級で建造当初は、全通甲板型巡洋艦として設計されていたが、ヘリコプターとV/STOL機(シーハリアー)合わせて21機の運用が可能な現代的な意味での軽空母の原型であり、以後の西側諸国で建造される軽空母の方向性を決定付けた。

現代の代表的軽空母の要目は以下のとおり

インヴィンシブル級(U.K.)
排水量 満載: 20,500トン
全長 210 m・全幅 36 m・吃水 8 m
機関 オリンパス TM3Bガスタービン4基・COGAG2軸推進、72MW・最大速力 28 ノット
乗員 1,110名(航空要員384名)
兵装 アメリカレイセオン・システムズ社製ファランクスCIWS20mm機銃 2基 ・(後にオランダ シグナール (Signaal) 社製ゴールキーパー30mmガトリング砲に換装)3基
搭載機 シーハリアー × 16・ヘリコプター × 6

ジュゼッペ・ガリバルディ(イタリア)
排水量 基準:10,000t・満載:13,850t・全長 180.2m・飛行甲板全長:174m・全幅 33.4m・飛行甲板全幅:30m・吃水 6.5m
機関 GE LM2500 ガスタービン4基 82,000hp 2軸推進・最大速力 30ノット
兵員 550人(航空要員230人、司令部要員45人)
兵装 アスピーデSAM8連装発射機 2基(48発)・40 mm 連装機関砲 3基・3連装短魚雷発射管 2基
搭載機 AV-8B+ ハリアーIIプラス16機またはSH-3D対潜ヘリコプター18機・総搭載機数:格納庫12機、露天係止12機

カヴール(イタリア)
排水量 満載排水量 27,100t・全長 244m・全幅 39m・飛行甲板 220m×34m、スキージャンプ12°・吃水 最大8.7m
機関 ガスタービン4基 88Mw・速力 最大28ノット・航続距離 7,000海里(巡航速度:16ノット)
乗員 乗員451人、航空要員203人・司令部140人、海兵325人、余剰91人
武装 アスター15SAM 32発・76mm単装砲 2門・25mm機関砲 3門
搭載機 AV-8B、F-35B 12機・EH 101、NH90、SH-3D 8機

プリンシペ・デ・アストゥリアス(スペイン)
排水量 基準排水量 15,912t・満載排水量 17,190t・全長 195.9m・飛行甲板 175.3m・全幅 32m・水線幅 24.3m・吃水 9.4m
機関 ガスタービン2基 34.6Mw・最大速力 27ノット・航続距離 6,500海里
乗員 605名、司令部60名、航空要員145名
武装 メロカ20mmCIWS 4基・搭載機 AV-8BハリアーIIプラス 12機・ヘリコプター12機

チャクリ・ナルエベト(タイ)
排水量 基準 10,000t・満載 11,485t・全長 182.6m・全幅 22.5m・吃水 6.2m・
機関 ディーゼルエンジン2基 11,200hp・ガスタービンエンジン2基 44,250hp・最大速力 26ノット
乗員 455名+航空要員146名
武装 機銃 2基・ミストラル短SAM用6連装発射機サドラル 3基・シースパロー短SAM用Mk41VLS 8セル(未装備)搭載機 AV-8Sマタドール 6機・S-70B7 6機

これらを見ると我が「ひゅうが」はカブール、インヴィンシブル級よりは一回り小さく、プリンシペ・デ・アストゥリアスとほぼ同大でジュゼッペ・ガリバルディやチャクリ・ナルエベト(プリンシペ・デ・アストゥリアスの縮小小型版)よりはかなり大きいのが分かる。インヴィンシブル級、プリンシペ・デ・アストゥリアスやジュゼッペガリバルディは規模の割には搭載機数が多いが、これは空母としての能力を最大限に発揮させるための設計がなされているからだろうが、ジュゼッペ・ガリバルディなどは搭載機の半数は露天係止となっている。最もこの軽空母は比較的波の穏やかな地中海での運用のためだろう。これを見ていると我が「ひゅうが」もVTOL機15機、哨戒ヘリ6機程度は運用が可能だろうと思われるが、内部構造を比較してみないと何とも言えないだろう。

最近の傾向としては本格空母と強襲揚陸艦を大量に揃えているアメリカは別にして、イギリス、フランス、ロシア、(中国・インド(計画中))のように固定翼CTOL機を運用する本格的な空母保有とイギリスのオーシャン(分類上はヘリコプター揚陸艦)、オーストラリアのキャンベラ級強襲揚陸艦、スペインのフアン・カルロス1世(強襲揚陸艦 兼 軽空母)、大韓民国の独島級揚陸艦(ドック型揚陸艦に分類される場合もある)などのように商船構造で比較的低速の強襲揚陸艦にVTOL機やヘリを混載した戦力投射艦保有に二極化する傾向にあるようだ。大国以外の国にとってこれらの艦は比較的低コストで多用途任務をこなし、しかも艦型は軽空母型で国家の威信も満たすことが出来るからだろう。ただしイタリアのカブールは軽空母と揚陸艦の機能を兼ねた仕様となっている。我が「ひゅうが」級は高速で相応のヘリ運用能力を備えた艦隊指揮中枢艦として戦闘艦の機能の高い設計となっている。なお、海上自衛隊の「おおすみ」級輸送艦は世界的な標準ではドック型揚陸艦に分類されるそうだが、艦型は空母のようでも航空機運用能力は全くないそうだが、ヘリの離発艦は可能だそうだ。

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